フランスで日曜営業解禁のための法案が審議されていることもあり、日曜営業の是非をめぐる議論が高まっています。欧州全体の流れとしては、解禁の方向なのですが、そこはフランス人のこと、必ず、流れに逆らう動きが出てくるわけです。

 

  このことで思うことは、フランス人の個人主義についてです。例えば英国人とフランス人を比較すると、その個人主義の違いが浮き上がってきます。フランス人は言います。「英国人ほどの個人主義者はいない」と。すると英国人は「いつも協調性がないのは、フランス人じゃないか」と。

 

  日本では一般的に、フランス人は個人主義の代表選手のように言われています。でも、その個人主義は、多くの場合、個人のユニークさを表すもので、英国人とは違います。フランス人の多くが公務員になりたがるのも、経済的には保障を求め、週末やバカンスなどのプライベートな時間を個性的に過ごすのが一般的に好まれるからです。

 

  社会性を大切にする彼らは、意外と多くの社会的部分で共有するものを持っています。つまり、社会性の重視です。ところが英国人は非常に自立した個人にこだわり、フランス人から見れば社会性に乏しいと映るのです。

 

  日曜営業は、言ってみれば、国民のライフスタイルの多様化が大きな理由になっています。聖書の教えから始まった日曜日全ての国民が休養を取る習慣は、全ての人々に与えられた共有できる休日です。ミサに行かなくても、家族や親族、友人が集まれることを完全に保障する慣習です。

 

  全ての人が休めば、店が閉まり、それでは不便なのは当然です。逆にライフスタイルは多様だから、日曜営業は問題ないし、経済効果も高いというのが日曜営業解禁論者の意見です。英国人は言います。「全ての人に共通するライフスタイルなど存在しない」と。

 

  でも、フランス人の多くは、カトリック教徒の血を引いているので、共有できる価値観や決まりをどこかで求めています。日曜営業は便利ですが、その影で誰かが働く犠牲を払っているわけで、人生は働くためにあるわけではないし、1週間に1日ぐらい、多少不便があっても全ての国民が休む日があっていいじゃないかと主張しているわけです。

 

  その意味では、日本人こそ、ゆとりを持つために日曜閉店法が必要なのかもしれません。無論、世界的景気後退の中、消費を拡大するためには、日曜営業解禁は避けられないことかもしれませんが、日本のように24時間、365日営業という便利さは、雇用を生む代わりに、誰かがそのサービスのために人間関係を失う結果になっているのではないかという議論も成り立つわけです。