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  頭の痛いジャカルタの交通渋滞

 待ったなしの気候変動問題に取り組むのは先進国だけではありません。新興国、途上国は先進国の支援を受けながら後発メリットでサステナブルな開発に本腰を入れています。その1例としてインドネシアでモビリティのEV化に取り組む日本企業があります。

 三菱自動車は今年初めのプレスリリースで、海外での生産が初めてとなるワンボックスタイプの軽商用EV『ミニキャブ・ミーブ』の生産をインドネシアで始めることを明らかにしました。

 同社は、駆動用バッテリーと小型・軽量・高効率なモーターなど、世界初の量産EV『アイ・ミーブ』で実績のあるEVシステムを活用し、コロナ禍で需要が急増したEC市場の課題とされる宅配システムの問題で、ラストワンマイル(最終配送拠点から顧客への配送)に軽商用車EVを投入するというものです。

 ネットショッピングが日常化する中、EC市場では物流規模が急速に拡大したことで、使用される配送用車両から出るCO2が問題視されています。一方、新興国、途上国では急増する自動車需要の中で、業界に特化した商用車のEV化は脱炭素社会の実現で効果を上げると見られています。

 すでにアジアの途上国に日本の宅配業界は進出していますが、その要となる配送システムでEV化は今やスピード感を持って対処する必要に迫られています。三菱自動車は「軽商用EVは、物流における『ラストワンマイル問題』への最適解と考えている」との認識を示しています。

 無論、EV普及には充電スタンドインフラの整備は欠かせません。東南アジアはインドネシアだけでなく道路インフラ整備が課題で、充電スタンドの普及も急ぐ必要があります。
 
 三菱自動車は、過去に日本メーカー唯一の軽商用EV『ミニキャブ・ミーブ』を日本で配送業などを中心に2011年12月より開始した実績があり、今回は一度生産終了した同車種を脱炭素社会に大きく方向転換したアジアア市場で販売を始め、インドネシアに海外では初めてとなる生産工場立ち上げに動いています。

 競争の激しい自動車産業だけに今後、同事業が成功するどうかは慎重に見る必要はありますが、日本のメーカーが培った高度の技術がアジアの発展に貢献することへの期待感が高まるところです。