今週、英国のスナク政権は過去にない、あるいは先進国が踏み出したことのない移民政策を打ち出しました。法案の段階ではありますが、野党・労働党だけでなく、国連も敏感に反応しています。スナク首相は「あらゆる施策を講じたが成果は得られなかった」と弁明していますが、どうなるのでしょうか。
英仏海峡を小型ボートで横断し、大量に押し寄せる不法移民に対して英国のスナク政権が打ち出した移民政策は、非正規ルートで入国した者が、今後一切、受け入れないというものです。つまり、フランス側の浜辺からゴムボートに乗って命がけで英仏海峡を渡る者は国外追放され、英政府がその後、彼らが正規ルートで申請する資格も失うというものです。
この法案は、非正規ルートで英国に移民しようとする行為を諦めさせるのが目的で、不法移民に苦しむアメリカでさえも採用したことのない政策です。
この強硬案は国内だけでなく、欧州連合(EU)人権法や国連の難民政策の精神にも抵触するとして、国内外から厳しい目が向けられています。イタリア、フランス、スペイン、ギリシャは地中海を老朽化した船で渡るアフリカからの難民の救助に明け暮れており、毎日、子供を含め海で命を落とす人が後を絶たない状況です。
法案を提出したスエラ・ブレイバーマン内相は、野党からの激しい批判に対して、「一線は超えていない」と述べました。国連の難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、法案は「亡命禁止」に相当し、国連が重視する人権重視や人道から外れていると批判し、「英国とは思えない」と苦言を呈うしました。
非正規ルート(ここでは主に英仏海峡を小型ボートで流れ着く人々)は、特別施設に28日間拘留され、その後、アフリカの協定を結ぶルワンダなど第3国に強制送還する新しい法律は、欧米先進国が取り組んできた移民。難民政策とはレベルが異なります。
無論、英政府にも言い分があります。2018年に約300名だった小船で英国に辿りついた不法移民は、2022年には45,000人に膨れ上がっています。フランスは英国の要請でフランス側沿岸の取り締まりを警官を増員して強化したが効果を上げていません。
法案には、英国から追放された人々は、将来的に英国の市民権を取得したり求めたりすることもできなくなるとあります。英国政府は「安全で合法的なルート」を通じて定住する難民の毎年の上限も設定するとしています。
UNHCRによれば、世界中で1億人以上の人々が強制的に避難を強いられているといいます。同事務所は英政府が提出した法案について難民条約に「明らかに違反」していると述べ、「権威主義の国のやり方だ」と非難しています。
ブレイバーマン氏は、保守党議員に宛てた書簡の中で、法案が欧州人権条約(ECHR)に適合しない可能性は「50%以上」だとしています。ブレグジットで欧州人権条約の影響は下がっているともいわれていますが、どこまで受け入れられるのでしょうか。
ブレイバーマン氏は、保守党議員に宛てた書簡の中で、法案が欧州人権条約(ECHR)に適合しない可能性は「50%以上」だとしています。ブレグジットで欧州人権条約の影響は下がっているともいわれていますが、どこまで受け入れられるのでしょうか。
この議論、同じ島国の日本にも当てはまりそうです。英国の難民認定率は39.8%と世界でも断トツに高いのに対して、日本は0.3%で、無論、先進国中最も低いのが現状です。そもそも正規ルートで入っても認定がされない国の認定基準は不透明です。
認定を待って長期不法滞在し、拘留中に病気で亡くなったり、自殺した人も日本にはいます。世界の現状に対して、紛争に軍事的を関与を一切行わないというなら、難民受け入れに積極的であるべきでしょう。
認定を待って長期不法滞在し、拘留中に病気で亡くなったり、自殺した人も日本にはいます。世界の現状に対して、紛争に軍事的を関与を一切行わないというなら、難民受け入れに積極的であるべきでしょう。
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