
2024年の米大統領選挙戦が始動する中、日本での扱いは小さいようだが、14日に元国連米大使で前サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー氏が出馬を表明した。現時点ではトランプ前米大統領やフロリダ州のロン・デサンティス知事に比べれば支持者はかなり少ない。
しかし、前前回の大統領選挙で泡まつ候補として登場したトランプ氏は共和党候補ではなく、独立候補だったが、大統領の選出され、今では共和党が頼りにまでしている。その一部の共和党員は、バイデン大統領に再び負けると考えるトランプ氏のに代わりを探し始めているといわれる。
トランプ氏には大統領選の最終盤での連邦議会議事堂襲撃事件や大量の機密文書を自宅に保持していた問題、脱税疑惑など、ネガティブ要素が多すぎる。根強い福音派の岩盤支持者も当てになるかどうは不確実だし、共和党内のトランプ不支持も根強い。
ただ、立候補を表明したヘイリー氏には今後、予備選で厳しい試験が待ち受けている。すでにメディアはヘンリー氏の弱点探しを始めているはずだ。アメリカでは、たとえばベビーシッターに不法移民を雇っていたり、大学時代に不品行な行動が残って至りしただけで不利になる。
予備選の利点は共和党を支持する有権者が、誰が最良の長距離ランナーなのかを知ることができることだが、アメリカでは資金力が大きく問われる。富豪のトランプ氏は問題なかったが、途中で脱落する候補者の事例では資金力の枯渇は目につく問題だ。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「ヘンリー氏の出馬は歓迎すべきもので、同氏には明確な強みがある。同氏は知事時代に人気があり、外交分野で閣僚級の地位に就いていたほか、共和党内に人種および性別上の多様性をもたらす。同氏にはカリスマ性もあり、共和党員の集まる場を明るくできる」と称賛の声を伝えている。
ただ、保守層が多数派のサウスカロライナ州で人気があったとしても、全国レベルで、それも常に勝敗に大きな影響を与える浮動票を集められるかは別問題だ。ただ、彼女が注目されたのは国連を舞台に中国やロシアを敵に回し、一切妥協することのない姿を世界に示したことだった。
バイデン現大統領の及び腰に嫌気がさしている有権者の中には、保守派としての信念を曲げない姿勢に期待する人は少なくない。ヘイリー氏は、サウスカロライナ州議会議事堂の敷地内の記念碑に掲げられていた南軍旗を撤去する法案に2015年に州知事として署名した。
同州チャールストンで白人至上主義者が9人のアフリカ系米国人を殺害した事件を受けたものだったが、南北戦争の悪夢、人種差別に繋がるシンボルの除去に大きな役割を果たした。
WSJは「ヘイリー氏にとって最大の課題は、好ましい人柄以外の点で、自らが大統領候補にふさわしい理由を明確に示すことだ。彼女は出馬表明した際に、米国が正義の勢力であるとの信念、世界的脅威の深刻さ、左翼的進歩派の愚行などを強調したが、共和党の大統領候補で、これらの点について異なる考えを持っている者はいない」として、通り一辺倒な主張の軽さを懸念している。
一方若さという点では、バイデン氏やトランプ氏に比べ、51歳は若いが、それなら、出馬が予想されるデサンティス氏は44歳のさらに若い。世代交代という主張は有権者に納得感を与えるかもしれないが、若い候補者は彼女以外にもいる。
あとは女性であり、インド系の初のアジア系候補者になることだ。これは大きな挑戦といえる。興味深いのは英国のスナク首相もインド系で、インド系の活躍が注目されていることだ。
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