20210209_cattenom-600
 
 仏日刊紙ル・パリジアンによると、フランス電力(EDF)は8月25日、全国的に電力供給に緊張が走る中、フランス国内の配管の腐食で点検、修理中の原子炉12基のうち4基が腐食問題の修理の影響で再稼働時期を延期すると発表しました。

 EDFによれば、2022 年の原子力電力生産量は 280〜 300 テラワット (TWh) の間で維持されると予想されている一方、広報によると、この範囲の下限に「おそらく」到達する可能性があるとしています。フランスは総電力の7割を原子力発電に依存している国です。

 腐食は、事故時に原子炉を冷却する配水管の溶接部で相次いで見つかったとしており、修理と安全確認を急いでいるとしています。このほか20基が点検中で、結果的に8月25日時点でフランスの計56基の原子炉中、半数以上の32基が保守作業、腐食の問題への対応の修理等で停止状態にあります。

 今回、腐食修理が必要になった4つの原子炉は、それぞれCattenom 1が11 月 1 日、Cattenom 3 が12 月 11 日、Cattenom 4が11 月 14 日、Penly 1は2023 年 1 月 23 日 に再稼働するとしています。

 フランスの電力価格はウクライナ危機を受け、数か月間に着実に上昇しており、史上最高記録を更新しています。1 年前は通常は 50 ユーロ未満の上昇だったのが100 ユーロになり、 1 メガワットあたり 900 ユーロに達すると予想されています。

 フランス原子力安全局(ASN)は昨年 7 月、フランス国内の原子炉で発生した腐食問題についてのEDFの管理戦略を検証し、EDF は、2025 年までに超音波を使用してすべての原子炉をチェックし、この問題の痕跡を探す方針を決定しています。

 EDFは特に最も機密性の高い1,450 MW の原子炉と一部の 1,300 MW の原子炉を優先的にチェックする必要性があるとしています。ASNは 「EDFの計画は適切である」とプレスリリースで述べています。

 フランスの原子力発電所の多くは、内陸の川沿いにあり、今夏の南欧は熱波に襲われ、稼働中の原発にも影響が出ています。原子炉冷却に川の水をくみ上げているだけでなく、排水も行っており、その水温が規制されていることから、仏南西部ゴルフェッシュ原発などは水温の基準値をオーバーしたとして出力を通常の130万キロワットから30万キロワットに引き下げて運転している状況です。

 フランスは2012年から2017年のオランド左派政権時に福島原発事故を受け、反原発意識が高まり、一旦は原発依存からの脱却を決めましたが、マクロン第2期政権では、ウクライナ危機と脱炭素への繋ぎのエネルギー源として原発推進に切り替え、原子炉6基の新たな増設も決めています。

 すでに政府はEDFの再国有化を宣言しており、今後、原発推進を加速させることが予想されます。安全性確保は至上課題ですが、電力料金の高騰による経済への影響を最低限に抑えたい政府が、再稼働を急いでいるのは確かといえそうです。

 その一方でマクロン大統領は最近、旧植民地の北アフリカのアルジェリアを訪問し、冷え込んでいる両国関係を修復し、天然ガスの安定的な輸入に繋げたいとしています。

ブログ内関連記事
原発大国フランスの防衛体制 ゼレンスキー大統領がマクロン大統領と協議の理由
EUの露産ガス脱却は難航 EU権限の限界が露呈し、コロナ対策同様指導力問われる
指導力なき欧州指導者たち 大国ドイツの社会民主主義者は戦争より自国の寒い冬を心配している