世界は新型コロナウイルスの変異種オミクロン株の感染拡大を受け、揺れています。理由は過去最強の感染力により感染が拡大している一方で、重症化率が低いからです。つまりコロナウイルスのインフルエンザ化が指摘され、ならば特別に警戒する必要はないのではないかという見方が強まっています。
フランス政府は24日より、従来運用していた新型コロナウイルスのワクチン接種および検査証明を示す衛生パスからワクチン(接種証明)パスに切り替えます。ワクチン未接種者は検査証明だけでは行動規制が掛けられ、実質的なワクチン義務化に動いた形です。
23日には義務化反対デモが全国規模で起き、仏内務省の発表で約38,000人が参加しましたが、15日の54,000人には及びませんでした。デモ参加者の中にもマスク着用者がいただけでなく、デモ隊の主張には政府のあらゆる政策に反対する主張が見られ、ワクチン義務化に集中していない雰囲気もありました。
今後、フランスではワクチン・パス導入後16歳以上の全てを対象にレストラン、バー、映画館、劇場、スタジアム、長距離鉄道(TGV)などを利用する際に、ワクチン接種完了を証明する必要があります。12歳から15歳は除外されますが、陰性証明だけでは各施設への入場ができません。
結果としてワクチン未接種者は公共交通機関を使った長距離移動など、様々な行動制限が課されることになり、マクロン仏大統領がいう「あらゆる手段」でワクチン未接種者を追い詰める方針です。
ただ、病院や介護施設、その他社会医療施設へのアクセスについては、衛生パスが維持され、ワクチン未接種者も24時間以内に実施された検査の陰性証明書を提示することでこれらの施設へのアクセスが可能としています。
2回目接種から7カ月以内に3回目のブースター接種を実施することがワクチン接種完了の条件だったのが、2月15日以降、その期間を4カ月に短縮します。
さらにワクチン未接種者も1月24日以降、2月15日までに1回目のワクチン接種を実施し、その28日後に2回目のワクチン接種を行った場合、その期間に24時間以内に実施された検査の陰性証明書を提示することで、ワクチン・パスを取得できるとしています。
一方、専門家の間でオミクロン株の感染ピークが過ぎつつあるとの見解も出ており、政府は規制緩和に乗り出す方針を明らかにしました。2月2日以降、テレワークの義務化は解除され、すべての文化・スポーツ施設(劇場やスタジアムなど)における人数制限は、マスク着用義務を引き続き課すことを条件に解除されます。さらに野外でのマスク着用義務も撤廃されます。
2月16日以降、スタジアムや映画館、交通機関における飲食、また、カフェ・バーにおける立食が許可され、ディスコなどの営業が再開されます。これには若者が大喜びです。
学校は2月の休暇後、小学校の教室内における生徒のマスク着用義務の解除、学校で実施が求められる検査やセルフ検査の数も減らすといった、学校における規制を緩和する方針です。ただし、フランス政府が必要な衛生措置を可能とする法律は、7月末まで維持されます。
フランスでは与党・共和国前進の議員がワクチン義務化反対の暴徒に襲われる事件も起き、かなり荒れています。ワクチン以外の規制措置緩和で国民の不満が収まるのかは、まだ不明です。
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