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 東京五輪が始まって以来、韓国による反日行動や他国への蔑視が目立ちます。五輪憲章に政治を持ち込まないルールがあることを知らないのか、好意的に破っているのかは不明ですが、若いアスリートたちの反日行動や韓国メディアの国際常識を欠いた態度には驚かされます。

 選手村のレストランの食材に福島県さんが含まれるとして利用を拒否して、独自に食堂を開設してみたり、選手村に反日を意味する横断幕を掲げてみたり、開会式の報道で韓国テレビメディアが国を表す絵で相手国を傷つけるような無神経な絵を使用したりと、失態ともいうべき行動が目立ちます。

 驚きなのは、若いアスリートたちの問題意識の希薄化です。国が反日政府だからといっても、若者は自分で物事を考えるのであれば、愚かな反日行動はとらないはずですが、政府、メディア、SNSなどで形成される世論が一つの方向を向いてしまっていることです。特に反日政府のいうことを疑問に感じないところが恐ろしいところです。

 それで思い出すのは中国で、某日系大企業のグローバルリスクマネジメントの研修に参加していた中国人の若い従業員が「日本人と働いて5年になるが、日本人が完全に間違った中国についての知識を持っていることに驚いています」といったことでした。彼女は中国共産党による教育をまるごと信じていることに驚かされました。

 そこから見えることは、時に組織への忠誠心と権力者に対する人間崇拝です。目に見えないキリスト教のような神の存在を信じない東洋の精神文化には、自然界に神を見出す精神とともにシャーマニズムが根付いています。儒教では忠孝の精神ですが、結果的に人の上に立つ人間の考えを鵜呑みにする傾向があります。

 これは個人の自由や権利、平等を基本に置く民主主義とは相いれないものでもあり、今回の五輪参加の韓国人アスリートたちの統一行動も個人個人の意見は感じられません。中国では相変わらず、自国民が金メダルを取る報道は大々的ですが、特に卓球で想定外の日本に金メダルを奪われたことは、ほとんど国内で最小限にしか報じていません。

 この忠孝の精神やシャーマニズムは、東洋人の精神構造に多大な影響を与え、中国では習近平国家主席崇拝による統治に大いに役立っています。韓国でも反日政府のいうことを鵜呑みにしていることに影響を与えています。ただ、恐ろしいのは韓国の朴槿恵前大統領のように国民が嫌う金銭的汚職が起きると崇拝は憎悪に代わり、刑務所に送り込むのも韓国です。

 そこは中国の方がはるかに上手で、文化大革命で大失敗した毛沢東を未だに国のヒーローにして天安門に巨大な肖像を飾っているのは中国共産党による統治体制に不可欠との知恵からでしょう。

 いずれにしても国や組織をまとめていく上で人間崇拝は東洋においては重要です。逆にいえば崇拝される人物が間違うと国や組織全体が危機に晒されるという事です。そうなると皆でその人物を刑務所に送り込む韓国のような現象も起きます。

 シャーマニズムの慣習の残る中国では、英雄やその支持者の墓まで暴いて歴史から消し去る習慣が長い歴史に残っています。北朝鮮では権力者に反発する人間を処刑する習慣が今でも続いています。

 日本にも人間崇拝の慣習は残っています。経営の神様などいってその人物を神様扱いしてみたり、安倍長期政権時代には、安倍氏への人間崇拝もありました。

 無論、国への忠誠心やメディアのいうことに影響されやすいのは東洋だけではなりません。英国はニュアンスは違いますが、「すべてはクイーンのために」といい、私が教鞭をとっていたフランスのビジネススクールの10か国以上から来ている学生の中で、欧米メディアが報じる日本を鵜呑みにしているのはドイツ人でした。さすが全体主義を経験した国だと思いました。

 今は個人個人が自分の良心に照らし、自分で考え、自分で判断し、行動することが求められる時代です。SNS時代に起きている陰謀説や噂話が簡単に拡散してしまうのは、個人の独立した考えが希薄だからでしょう。無論、忠孝の精神にも素晴らしい側面はありますが、そこにリスクが潜んでいることも考えておくべきでしょう。

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