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 今年も新年早々、世界の新型コロナウイルスの感染拡大の脅威は高まるばかりです。英国では新規感染者が5日連続5万人を超え、その英国が発生源と見られる感染力の強い変異種感染者が世界各地で発見され、日本を含め年始から規制措置強化に動き出しています。

 そんな中、コロナ対策で外出禁止や大規模集会が禁止されているフランスで、年末から年始にかけて約2,500人が参加したレイブパーティーが強行され、現場に駆けつけた憲兵隊と参加者の1部が衝突する騒ぎとなりました。参加者は憲兵隊に向かって投石し、警察車両に放火しました。

 場所はなんと私が教えていた大学のあるブルターニュ地方の中心都市レンヌから南に約30キロにある小さな町、リュロン。車で何度も通ったことのある場所の空き倉庫で起きたことです。レンヌは大学が多い学園都市で、パーティー参加者の多くがレンヌに住む学生だったことは想像に難くありません。

 私自身が昔、インタビューを受け、紙面で紹介された地元日刊紙ウエストフランス(フランス最古の新聞)によると、今回のパーティーは年末から2日に掛け、36時間行われ、新年を祝う違法なレイブパーティーでした。捜査当局は新型コロナウイルスの制限措置に違反したとして1,200人以上から調書を取られ、罰金を科されたそうです。

 このニュースが日本のNHKでも報じられたのをブルターニュ出身のフランス人妻が妹に伝えると「本当に恥ずかしい」と一言いったそうです。若者が羽目を外したがるのは世界どこでも同じですが、コロナ禍の特殊な状況を考えると自粛は若者にも求められています。

 実は昨年秋以降、コロナ感染が拡大し、最高で1日の新規感染者が5万人にまで達した時、政府保険省は、夏のヴァカンスで羽目を外し、ヴァカンス先でマスクをせず、何度も密の状態を作ったことが秋以降の感染拡大の原因だという見解を発表しました。

 秋以降も何度も若者グループが、コロナ対策の集会禁止措置の中でもレイブパーティーを強行し、問題になっています。検察当局は今回、捜査の末、主催者と思われる22歳の若者2人の身柄を拘束しましたが、前科はないといいます。地元のアストリュク検事によると、警察は1か所の家宅捜索から、イベント収益の一部と見られる大金を発見したとされたそうです。

 約2,500人が参加していたのに1,200人しか検挙できなかったのは、憲兵隊が駆け付ける前に逃走したからでしょう。フランスでは現在、夜8時から朝6時までは、特別政府が認めた理由なしの外出は禁止されており、当然、パーティー参加者は全員違反者です。特に主催者には禁止されている大規模集会を強行したことで重い罰則が待っています。

 ウエストフランスのインタビューに答えた主催者の一人は、準備に2,3か月要したことや「違法なことは分かっていたが、やりたかっただけ」「後悔はしていない」と語っています。

 ブルターニュ地域圏の保健当局は、参加者全員に対し、PCR検査を受けた上、直ちに7日間の自主隔離に入るよう要請しましたが、逃走した参加者は野放しです。フランスでは現在、新規感染者数が減少しないことから外出禁止時間を午後6時に前倒しする検討に入っています。

 実はブルターニュ地方はフランスでも最もカトリック信仰の強い保守的な地域です。無論、世俗化は恐ろしい勢いで進み、若者の多くはリベラル化していることは否定できません。しかし、少なくとも60歳以上のブルトン(ブルターニュ出身者)なら、眉をひそめていることでしょう。

 感染しても無症状でダメージの少ない若者がコロナを怖がらないのは世界的ですが、彼らが重症化しやすい高齢者や持病を持った弱者にウイルスを広めているのも事実です。レンヌの大学教授の友人は「感染させるのは殺人と同じだ」「罰金だけでは同じことが繰り返される」と厳しい発言をしています。

 今年は希望のウイルスで後半にはコロナ感染は鎮静化するのではと見られ、急激な経済回復を見込んで期待感から株価も世界で上昇していますが、若者の意識変革もカギを握っているといえそうです。

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