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 日本企業の多くが中国と抜き差しならないほど深い関係にある今、中国で導入された輸出管理法は強いプレッシャーになっているのが現状でしょう。それも対象品目や対象企業が小出しな上、域外適応規制も加わり、中国から輸入した原材料や製品を他国に輸出する先まで干渉する規制は大きな問題です。

 この中国輸出管理法は、アメリカからの貿易圧力に対抗するために生み出されたものと考えるのが妥当でしょうが、中国共産党政府の国内引き締めと次の段階の覇権に向けた使いまわしのいい管理法だといえそうです。法治国家である日本及び欧米諸国は法が定められると身構えますが、実はアジアは様相が異なります。

 その一つが3権分立が明確でなく、政治が法の優位に立つ傾向が強いことです。逆に言えば法は政治利用されるのが常です。従軍慰安婦や徴用工問題での韓国政府の態度は日韓基本条約という国際法を無視しているわけですが、彼らにとって法律や条約を絶対視する考えそのものがありません。

 中国には「法は破るためにある」という考えがあります。そもそも普遍的価値観など存在しないと考えられる中韓では、商人は法の網をかいくぐって商売するのが常です。

 中国が今回の輸出管理法で、なぜ対象品目や企業を小出しにしているのかといえば、同管理法を政治の道具として使うことを目的としているからです。つまり、都合によって品目も企業も変えながら、相手を威嚇する政治の武器として導入したものだといえます。そこには最初から公正さなどありません。

 そのため、自国の経済を守るために管理法を導入したという断わりは、最初から論理が破綻しています。なぜなら管理法の内容は、海外からの投資を遠ざける可能性が高いからです。特に今後の中国への投資を考える外国企業は拠点を他のアジア諸国に設ける可能性が高まります。

 中には企業活動に深刻な影響があり、中国から徹底する企業も出てくる可能性があるからです。特に安全保障分野は中国からの輸入が規制されれば深刻な痛手になることは確実です。ビジネス依存度の高い日本は熟慮と早急な決断が必要でしょう。

 最近の中国は海外からの批判が起きそうなことばかりしています。香港に導入された国家安全法は、国際的に約束した一国二制度を破壊し、非常に強い批判を受けています。新疆ウイグルのイスラム教徒への弾圧は人権問題として国連でも問題視されています。

 その他、台湾支配、南シナ海の軍事基地拡充、東シナ海の尖閣諸島への威嚇、世界中の途上国を債務漬けにして支配するやり方など、枚挙に暇がありません。そこには「支配するものがルールを決め、最大限の利益を得る」という哲学が垣間見え、中華思想そのものです。

 結局、そのような中国と付き合っていくためには、強力な武器が必要です。それは価値観を共有する同盟国との深い信頼関係だけでなく、自国に強力なルーㇽを作って対抗しながら、利口に立ち回るしかありません。こちらに普遍性を持った価値観と毅然とした姿勢があれば相手にもいい影響を与えられますが、対処療法だけでは相手に飲み込まれてしまう可能性があります。

 ポストコロナは自国防衛は自国でまず行うという国民の強い意志が必要でしょう。その中で異文化環境でも安心してビジネスを行える環境を整えていくことを重要でしょう。

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