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 フランスで、もし人の家に招来されたら、何を手土産に持っていくかは悩むところです。日本ではお茶菓子が一般的ですが、フランスには三種の神器といわれるワイン、ケーキ、花があります。特に花は相手が家族や女性なら、貰って嬉しくない人はいません。

 無論、日本酒や最近人気の抹茶味の和菓子もいいでしょうが、相手が見えない時は、少し上等なワイン(といっても20ユーロ程度)、ケーキ(そのうちが準備していたり、他の招待客も持ってきたりしても構わない)、そして花束(フランス語ではブーケ)は歓迎されています。

 この三種の神器で最もコロナ禍でダメージを受けているのが花屋。今年3月のパンデミック以降、なんと2000軒の花屋が廃業。この数年、多少現象傾向にあった花屋は全国に約14,000軒あったのが、7軒に1軒が閉店したことになります。さらにこの数か月で3,600人が同業界で失業したそうです。

 ロックダウン(都市封鎖)時には、大量の花が廃棄される映像が世界に配信されました。これは花の世界的生産地オランダでも同様でしたが、フランスはフランス料理と並び、フラワーアレンジメントの聖地、世界中から技術習得のために日本人を含む外国人が大挙してやってきます。
 
 その受け皿はフラワーアレンジメントの専門学校だけでなく、有名な花屋も修行先だったのが、そこからも外国人が消えてしまいました。一般に花屋の収入源の4割を占めるといわれる結婚式やホテルでのパーティーなどの祝い事、イベントも激減したのが致命傷となっています。

 政府は生花店を含む38の業種に連帯基金の対象を拡げることを8日に発表しました。具体的には営業持続給付金の支給の他に、低金利ローンや社会保障税の年末までの免除などですが、業界は歓迎する一方、このままコロナ禍が続けば廃業、失業の増加は避けられないかもしれないといっています。

 同業界では「われわれは生きた花を扱っており、需要が激減すればすぐにダメージを受ける。迅速な援助が必要だ」と訴えています。家族の集りに欠かせない花も大人数での集りを避けるように政府が要請したため、今夏は花も売れなかったといいます。感染再拡大で結婚式は来年に延長され、人が集まること事態が困難な状況です。

 しかし、人との交流が激減しても、命ある花が人間に生命力を与えることに変わりはありません。集会での大量消費は難しくとも自宅を花で埋めつくすことの効果はあるはずです。なんとか花屋も生き延びてほしいものです。

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