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 フランスのマクロン大統領は、父親の育児休暇を来年7月から現在の14日間を28日間に増やし、そのうち7日間は義務とする方針を明らかにしました。乳幼児が父親と触れる時間が増えることに歓迎の声が聞かれる一方、コロナ禍で倒産の危機が迫る企業の負担増を心配する声をあがっています。

 実はフランスの現状では、育休を取る男性は正社員で80%、契約社員で48%といわれています。特に時間給で働く契約社員は減収懸念から育休を取る男性は5割以下です。因みに男性の育休休暇はヨーロッパでは北欧スウェーデンが60日、フィンランドは54日と圧倒的で、フランスは欧州連合(EU)平均。

 因みに私個人も5人の子供を育てることに関与した経験者です。それもフランスと日本の両国で経験しましたが、日本では育休制度が整備されていない時代でした。今はコロナでリモートワークが普及していますが、私は物書きだったこともあり、自宅で仕事をしながら子育てもしていました。

 今回の措置は、厳密にいえば、現行の11日間の男性の育児休暇が25日間に延長され、そこに子供の誕生前後に父親が取得できる3日間の出産休暇を合わせ、計28日間の産休ということになります。さらにうち7日間は取得を義務化するというものです。育休中の給与も100%支払われます。

 マクロン氏の説明では、新方針は「男女共同参画の発展」につながるとし、「子供が生まれた時、母親だけが世話をしなければならない理由はない」と述べ、制度改正の意義を強調しています。無論、フランスですから父親が義務化された育休を取らない場合、企業への罰則も科す方針です。

 現在フランスでは女性の産休・育休に関しては、女性が働いている場合、産前6週間、産後10週間は、産休取得日の3か月前の平均給与額から計算された金額が支払われています。これは他の先進国波といえます。

 両親が共に育児に参加するのは子供の成長にとって重要とする専門家の研究もあり、今回の仏政府の発表は歓迎されていますが、来年7月に新型コロナウイルスの感染状況が大きく改善されていないと、企業そのものの存続が危ぶまれ、政府が全額負担ということも考えられます。そのことには今回言及していません。

 フランスでは数年前から、3歳未満の子供の養育に政府がもっと関与すべきという流れができており、たとえば、育休を長期化させる弊害についての指摘もあります。それはたとえば長期に渡り、乳幼児が母親だけの環境で育つ場合、保育園などさまざまな大人と触れる環境の不足から言語発達にはマイナスという研究結果もあったりします。

 大家族はありえない今の時代、祖父母や親戚、近所の人が乳幼児の周りにいつもいる環境は望めない場合が多いのが現実です。フランスの場合は少なくとも働く父親が残業して深夜に帰宅することはないので、父親不在という状況は避けられるケースが多いということはありますが、孤立した家族は少なくありません。

 今はそれだけでなく、スマホの普及で父親だけでなく、母親も乳幼児を抱えながら、長時間に渡り、スマホに集中し、子供に話しかけることが少なくなっていることが子供の言語発達を阻害しているという指摘もあります。父親は育休でスマホばかりいじっていては子育て効果は半減するでしょう。

 コロナ禍でリモートワークが増え、さらに定着しそうな状況なので、育休の意味も変わってきそうですが、実は自宅で親が仕事をする状況は、子供に何も影響がないとはいえません。逆に仕事のプレッシャーや緊張、ストレスが家庭に持ち込まれることでの悪影響も懸念されます。

 イクメン研究は未だ未成熟なステージといえますが、フランスは日本より、イクメン意識は相対的に高いといえます。実際、夫婦で家事を分担するのは当り前になっています。まずは育休を通してイクメンは母親の大変さを理解できるようになり、さらに父親としての自覚を持つようになることで、家族に対する責任感が増す効果は確実にあるでしょう。

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