P9080005
  このような光景にいつ戻るのだろうか パリ15区の小中校

 現在、フランスの小中高、大学の授業は国の新型コロナウイルスの封鎖措置で休校中です。5月11日からの「段階的な学校の再開」について、ブランケール仏教育相が4月21日に基本的考えを明らかにしています。まだ、確定ではありませんが、5月11日から3週間かけて学年によって授業を再開し、6月頭には全学年の授業再開を目指すというものです。

 具体的には1クラスの人数の上限を15人程度とし、それ以上の人数のクラスは半々に分けるのが基本です。上限人数は学年によって異なる可能性があるとしています。全国一律に施行するのが基本方針ですが、地方によっては5月11日以降も自宅待機が続くケースも考えられるとしています。

 通常登校、在宅学習、自習、自由の4つの形態の中から状況に合うものを適用し、市町村の首長との相談の上、スポーツ、健康、文化的活動を提案するとしています。マクロン大統領はネットを通じた学習実施でネット環境がない地方で教育の不平等が生じているため、その解消も急務と指摘しています。(フランスには地域に行って、未だネット環境が整っていない所がある)

 具体的には、まず、5/11の週にGrande section(幼稚園児5歳)、CP(小1)とCM2(小5)の授業再開を1クラス15人以下のクラスで行う。これらの学年で、もともと15人以下のクラスは、5月11日以降完全に授業再開できる。特に優先的学区内の学校のCPとCE1(小2)の約29万人はすでに1クラスが12人までと定められているため、問題なく再開される。クラスが15人未満の地方の学校(約)65,000人も5月11日から通常授業再開の見通し。
 
 次の5/18の週には、中学校の6eme(中1)、3eme(中4年/最終年)、高校のPremiere(高2)、Terminale(高3/最終学年)の授業再開。5/25の週には1クラス15人を守りつつ、学校全体を再開させる。6月には、幼稚園なども10人未満のクラスで授業再開を目指すとあります。

 なお、学校に子供を通学させたくない親がいる場合、自宅学習をする選択肢もあるとしています。ただし、その場合、在宅で学校の授業をネットで受ける義務があるとしています。さらに基本疾患があり病気にかかりやすい教員は、在宅勤務も可能としています。

 フランスでは当初、今のままでいけば、6月下旬に通常夏休みに入るので、授業再開は9月の新年度ではという懸念も拡がり、勉強の遅れの不安が拡がっていました。教育に力を入れるマクロン大統領は、学校授業再開には非常に意欲的です。

 そこで授業再開の検討課題の一つは生徒のマスク着用を義務化するかどうかの問題で、カスタネール内相はマスクの有効性について科学的根拠が不明確として義務化に消極的です。一方でマスク不足も深刻で着用義務が課せられた場合、入手できるかどうかも不明です。

 フランスでは基本的にレストランやカフェはしばらく休業を続ける他、文化スポーツイベントも8月一杯は禁止する可能性が高く、カンヌ映画祭、テニスのフレンチオープン、自転車レース、ツールドフランスが全て延期になっており、サッカーの試合も開催目途が立っていません。

 個人的に今回の授業再開に向けた基本方針を見ながら感じるのは、基本的に少人数の授業が日頃から定着していることが再開を容易にしているということです。この方針は数十年前から推進されてきたことで、それが今回は功を奏している印象です。

 アジアでは狭い空間に詰め込むケースが多いわけですが、ヨーロッパ人の空間感覚、身体的距離感はアジア人より広いことが研究で分かっており、そういったことが3つの密を避けることに貢献しているともいえます。

 フランスは死者が2万人を超えている一方、集中治療室に搬送される人数が減少していますが、サロモン仏保険総局長は「終息宣言をするには程遠い」という認識を示しています。世界的には子供の感染や死者も出ているため政府は慎重ですが、封鎖解除の具体策は5月頭には正式に発表される予定です。

ブログ内関連記事
筋が通ったリスクマネジメント 優先順位を決められない場当たり的対応が失敗を招く
福祉国家は疫病危機に堪えらる? 景気後退で一時失業が完全失業に変わる恐怖のユーロ圏
文化芸術は人間の営みの生命線 危機的状況だからこそ大切にしたい文明の根幹