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 横浜市の9割の小学校の昼食時間が15分というニュースが流れ、それを見たフランス人が吹き出しています。なぜ、吹き出しているかといえば、世界1働き者というイメージのある日本人は、小学校の昼食でさえ、そんな短い制限時間で、それも黙々と前を向いて食べているのかと呆れているからです。

 断っておきますが、フランス人も、この20年でサラリーマンの昼食時間は大きく変わり、2時間などというのは昔の話で、サンドイッチを自分のデスクでかじりながら、仕事を続けるフランス人も増えています。だからといって小学校の昼食の制限時間が15分というのは、相当な違和感のある話です。

 無論、彼らも実質的に食べている時間は10分程度だという指摘もあります。しかし、昼食は食べるだけではなく、生徒同士が会話し、交流する時間でもあるわけです。

 通常、フランスの小学生は学校給食(カンティーヌ)を食べるか、自宅に帰って食べるか選択制です。地方都市では働いている親も自宅で昼食を食べる場合があり、結局、1日学校と家、職場を3往復している場合も少なくありません。それも昼休みは公立校で平均1時間半から2時間程度です。このあたりは日本と相当事情が違います。

 通常、給食はビュッフェ形式で、食堂で生徒は並んでメインディッシュやパン、飲み物、デザートなどを自分でトレーに取り分けるスタイルが一般的。自分で選ぶ訓練にもなっています。そのトレーを自分で席に運ぶ途中にパリの公立小学校では栄養士が立っていて、栄養のバランスが取れているかチェックし、問題があれば足すように指示しています。いわゆる食育。

 しかし、食堂は学校にもよりますが、地方にいた時、私の子供が通っていたカトリックの私立校はしつけが厳しく秩序がありましたが、パリ15区の公立小学校では「食堂は戦場だよ」と娘がいっていたのを覚えています。食べ物が床に散乱し、生徒は勝手に走り回り、耳を覆いたくなるほどうるさかったといいます。

 そんな話をすれば、日本と比べるものなんて何もないといわれそうですが、違うといえば子供の成長について肉体面、精神面の研究がフランスでは盛んで教育現場に反映しようという努力が見られるのも特徴かもしれません。たとえば睡眠時間で、これは欧米に共通しますが子供の睡眠時間は、最低9から10時間という考えがあります。

 睡眠は人間の成長に非常に大きな影響を与えるという認識は彼らには明確です。昔、常に学校でトップクラスだった私の姉は、小学校の時でさえ、いつも深夜12時まで勉強し、中学校では試験前の徹夜は当り前だったのを覚えています。当時の日本では睡眠は重視されていませんでした。

 フランスでは給食は義務ではありませんが、国は指針を出しており、給食は、子どもがリラックスして会話を楽しみ、発見と喜びの時間でなければならないと定義付け、30分以上の確保を推奨し、特に子どもの味覚を目覚めさせる味覚教育の場でもあるとしています。

 そんな指針からすれば、日本の昼食はほど遠い気もします。とにかく学校も社会と同じで過密スケジュールに追われている印象をフランス人は持っています。これでは余裕のない人間ができて当り前ということかもしれません。ゴールデンウィークの10日間を長く感じる日本人が少なくなかったのも、実は小学校から忙しくしていたからかもしれません。

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