IMG_0407フランスの村々には村の中心に教会が建っているが、その姿が消えた村もある

 フランス人の妻の郷里の町の教会の鐘が最近、久しぶりに町に鳴り響いた。なんとも言えない感動が心に染み渡った。

 仏西部ブルターニュ地方の東部に位置するマルティニェ・フェルショは、人口3千人の小さな町だが、町の中心には立派な教会が建っている。

 40年前には人口が1万人近くいて、乳製品の工場やセメント工場があり、活気に溢れていた。教会に隣接した神父館には、聖職者ら20数人が住み、日曜日の礼拝は人で埋まっていたという。

 それが、工場が消え、人口が激減し、神父館はアパートとして貸し出される始末となった。町の高齢化も進んだ。

 12年間に教会の鐘楼の老朽化で鐘が落下し、割れてしまった。しかし、新しい鐘を作る資金がなく、数年前に篤志家が資金を提供し、ようやく鐘が戻ってきた。

 町を初めて訪れた27年前、教会の鐘が町中に鳴り響く光景に感動したものだった。フランスの地方都市を訪れると、どの町や村も教会が中心にあり、カトリックの役割が大きかったことを思い知らされたものだ。

 各自治体が教会の改築や修復の費用を払えず、現在7600もの教会の建物の存続が危ぶまれているという。すでに今年に入り、5つの教会が解体されたそうだ。

 逆にイスラム教のモスクは増え続けている。彼らは熱心に教会に通うし、維持費には中東イスラム諸国の資金も流れてきている。友人のフランス人は、「フランスはイスラムの国になる日も近い 」と冗談まじりに言う。 

 フランス全土には45000の教会があるが、解体に反対する人は多い。無論、原因は教会に行く人の数が激減したからなのだが。