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欧州連合(EU)7日に、ブリュッセルで緊急首脳会議を開き、今月15日にワシントンで開催される主要8カ国(G8)及び、新興国による金融G20サミットに向け、EU提案の提出で合意しました。

サルコジ大統領が、ユーロ圏の金融システム構築を優先させたいのに対して、ドイツのメルケル首相はユーロ圏16カ国ではなく、全EU加盟国による金融対策を主張し、対立していました。

議長国でもあるフランスのサルコジ氏は、「金融危機を前に欧州が協調することが不可欠」と述べ、ドイツに妥協する形で、EU提案をまとめました。とはいえ、EUが一枚岩でないことは誰でも知っていることですが、世界的景気減速を前にまとまりを見せた形です。

このブリュッセルの会議の席上、サルコジ氏は「この金融危機がどの国によってもたらされたか、忘れるべきではない」と述べ、言外にアメリカ批判を匂わせました。EUが主導し、アメリカに対して新たな世界金融システムの構築を迫る意志を示しています。

今回の金融危機で最も打撃を受けた欧州は、アメリカの金融資本主義に踊らされた一番の被害者です。製造業よりは、金が金を生む金融業に手を染め、アメリカから大量の不良債券をつかまされた欧州では、政治家たちが激怒しています。

15日の世界金融サミットが見物ですが、アメリカがEU提案に乗る可能性が薄い一方、他の新興国がEU寄りになる可能性もあります。力でねじ伏せるアメリカの手法が限界に来ているのを見せつけるサミットになるかもしれません。

とはいえ、日本はまたしてもアメリカの顔色を伺うだけで存在感を示せないかもしれません。今は今回のような金融危機を再発させない新たなシステムを模索する必要があるわけですが、日本がもっとも苦手とすることでもあります。