最近の金融危機に対する企業の取り組みについて、企業研修などを行う会社の担当者と話す機会がありました。日本企業も、この危機をチャンスと捉え、グローバル化に本腰を入れて取り組み企業と、萎縮して保身に入る企業に分かれるようですが、後者は、1990年代の失われた10年の時以上に、生き残りは難しいだろうという話が出ました。
とにかく、グローバル化に対応できる人材育成が急務ということなのでしょうが、意外と日本の場合は、国内市場が大きいことや、島国的体質も手伝い、どうもグローバル化の本質や意味が理解されていないように見えます。
この厳しい環境の中で、成長を続けている某企業の異文化研修を担当しましたが、彼らは欧米の企業と肩を並べるビジネスを展開し、海外でM&Aなどを積極的行っています。そのための人材育成に大きな予算を費やしていますが、それが大きな効果を生んでいることは間違いありません。
無論、研修する側も、イノベーションが必要です。10年前から考えても、今の異文化研修に願われる内容は大きく変化しています。ただ、違う問題もあります。一部のやる気のある優秀な人材を除き、若い人たちのメンタルな部分が極端に弱体化していることです。
これはグローバル化時代の最大の足かせとも言える問題です。私は講演などで、欧米人と日本人の違いについて訪ねられると、今の若い世代に限っていえば、日本人は欧米人、あるいは中国人や韓国人に比べ、「弱い」と答えています。
身勝手な個人主義者で、公的意識がなく、欧米の個人主義とも異質ですし、自立心が弱く、周りの空気を読むことばかりに神経を使っているように見えます。モティベーションも高いと言えません。そのくせ、たいした経験でもないことでも、自分はプロだと言ってみたりしています。
グローバル化時代には、自分のスタンスを持たない者はつぶされていきます。そのスタンスも日々、磨き、深化させ、質を高めていく必要があります。他の人とは違う自分独自のスタンスを持つという戦後の日本人が最も苦手とする生き方を身につけることが、今望まれているということでしょう。