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 その国の政治は、政権交代が起きる時、何らかの時代的必然性があるのが常といえます。アメリカで8年間のオバマ政権の後、前代未聞といわれた泡まつ候補の烙印が押されていたビジネス界出身のトランプ氏がものすごい勢いで大統領選で支持を伸ばし、共和党は公認せざるを得なくなり、結果、トランプ政権が誕生しました。

 さまざまな見方はありますが、当時、アメリカ国民はホワイトハウスに救う政治エリートのエスタブリッシュメントの隠ぺい体質にうんざりしており、連邦政府の古い体質を変えることを国民が望んでいたのは確かです。トランプ氏はそれを変えることを公約し、その結果の検証などされていませんが、その時は国民の強い共感を得たのは確かです。

 英国では2016年の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票で、離脱を決めたにも関わらず、正式な完全離脱まで4年を要しました。離脱請負人になったメイ首相は苦戦し、結果的に離脱強硬派のジョンソン氏率いる保守党の一派が政権を牛耳ることで離脱を実現しました。

 離脱の是非は今でも議論されていますが、英国人がブリュッセルの傲慢なエリート政治家や官僚が一方的に決める規制や法律、政策に対して英国民に強い不満と違和感があったことは確かです。

 フランスは2017年の大統領選挙で、前代未聞の既存大政党に属さない39歳の金融界出身のマクロン氏が大統領に選ばれ、足下には自分が創設した中道の新党、共和国前進が国民議会の過半数を占めるフランスの第五共和制始まって以来の政府ができました。

 右派と左派の大政党の間を時計の振り子のようにいったり来たりしてきたフランス政治は、中道、30代の国政選挙にも出たことのないビジネス界出身の政治家に国を任せました。結果の審判は来年4月に予定される大統領選挙と国民議会選挙で下される予定です。

 東西冷戦後の「経済の時代」で行きすぎたグローバルゼーションがもたらした、ごく少数の勝者と多数の敗者を生んだ極端な社会の分断への不満から、グローバリゼーションの仕切り直しが4.5年前の時代的な課題でした。

 そして今は、先進国や自由と民主主義、法治主義を信じる国々は、独裁的な専制主義、権威国家がイスラム武装勢力、タリバンがアフガニスタンの政権を掌握する中、勢いを増しています。人権外交では到底戦えない状況に追い込まれており、自由主義がもたらした無秩序、民主主義がもたらした意思決定の遅さが危機に晒されています。

 強みは時代が要請する課題に民主主義は独善的専制主義より気づきやすいことですが、日本などは永田町の論理で超内向きの政治家と官僚、圧力団体だけで特殊な閉鎖的村社会を動かしてきた自民党の体質が、政治中枢の状況把握を難しくしています。

 国民は新型コロナウイルスへの政府の曖昧な対策でズレを強く感じ、それが限界点に達している状況です。たとえばリベラル票も取り込みたい人権の重要さを叫ぶ首相候補者は、今の専制政治が台頭する時代に果たして人権が武器となりうるのか理解しているのでしょうか。

 国民が期待する国のトップは、妥協を許さず、熱い心と信念を持った政治家です。政治は妥協の産物だと考える政治家が時代の変化に対して大きな改革ができるわけもありません。特に日本の政治は今変わらなければ、国家が衰退する瀬戸際にあるという危機感を持つ指導者が必要だと思います。

 トランプもマクロンも既存勢力が生み出した指導者ではありませんでした。無論、大統領制と議院内閣制の違いはありますが、危機的状況ではトップのリーダーシップは圧倒的に重要です。平和で安定した時代に必要なリーダーと有事の時に必要なリーダーは違います。

 たとえばアフガニスタン危機に接するまでもなく、中国やロシア、イラン、北朝鮮の脅威、さらにはコロナ危機においても、安全保障は時代の要請として極めて重要な課題です。安全保障の意識の高い政治家を国民の代弁者に選ぶ必要があります。

 政治が安定しなければ経済は鈍化するのが常で、途上国は政治が安定しない国ばかりです。社会の分断を解消するのも政治の役割です。今は視野の狭い、無知な政治家は経済にも悪影響を与えるのは確かです。時代の要請に答え、国民も共感する問題解決への変革を信念を持って実行できるリーダーの登場が期待されます。

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