olympic 2020


 常にポジティブであることは何においても重要です。そのポジティブマインドこそ生きる上のパワーであり、様々な場面で問題解決の鍵を握ることは世界中のビジネススクールで研究され、行動心理の専門家も同意しています。ところが遭遇する現実は困難が多く、ポジティブでいること自体大変です。

 日本では東京五輪開催中にも関わらず、新型コロナウイルスのデルタ株の猛威から1日の新規感染者が過去最高の1万人を超え、「本当はやるべきではなかった」「今すぐ中止すべき」などとの意見も出ていますが、世界の五輪注目度はけっしてネガティブではありません。

 その理由はスポーツがもたらすポジティブマインド。人間には闘争心や達成感を得る欲求があります。対立と分断、さらにはコロナ禍で繰り返される人の死や経済困窮が拡がる中、その欲求が間違って使われれば、戦争が起きてしまう一触即発の危機にあります。

 そんな中、人間に備わる本能的な欲求を健全な方法で発散させてくれるのがスポーツです。大げさにいえば人生そのものが詰まっているといえます。アスリートたちの掲げる高い目標とそれを達成するまでの山あり谷ありのドラマも人を勇気づけてくれます。

 今、必要なのはコロナ禍からの復興のレジリエンス(回復力)、それを支えるポジティブマインドです。その意味でスポーツ効果は絶大です。特に毎日、世界トップクラスのアスリートが競技を競い合う五輪は、最も質の高いスポーツシーンを日常的に世界で共有できる点は素晴らしいといえます。

 日本は、その意味ではまだまだスポーツ大国になる途上国です。世界の印象は日本人はあまりにも知的なものに寄りすぎているということです。さらには漫画やアニメなど体を動かさないオタク文化の発信地というイメージです。

 たとえば、フランスには世界最大のスポーツ用品チェーンストア、デカトロンがあります。体育館規模のスポーツ用品店で世界54か国に1500以上の店舗を持ち、日本では首都圏幕張に昨年、ようやく2号店ができましたが、規模は大きいとはいえません。

 このビジネスが成り立つには、国民の日常生活にスポーツが深く入り込んでいる必要がありますが、フランスの大小様々なスポーツイベントを目を見張ります。春にはテニスの全仏オープンに始まり、サッカー、ルマン耐久レース、自転車の世界的ロードレース、ツールドフランスなど世界的スポーツイベントは毎年開催されています。

 当然、一般市民のスポーツ熱は高く、完全に日常生活の1部になっています。その規模は日本とは比較になりません。ところが今回の五輪で日本がメダルラッシュなのを見て、日本人は頭だけではないんだというイメージが広がっています。特にサッカーで日本に負けたフランスチームを見てのフランス人の屈辱感は筆舌に尽くしがたいものがあります。

 忘れもしない1998年に開催されたサッカーのワールドカップの直前の日仏代表チームの親善試合の時、フランス人の義弟が「5−0」と予想した通り、5−0で日本は大敗しました。しかし、今度の日仏対決は、フランス人のふがいなさに南仏に住む義弟は不快感を感じ、途中から観るのをやめてビーチに行ったと言っています。

 体も小さく、体力もなさそうな、頭だけで決してスポーツが日常にあるとは思えなかった日本人が、次々にメダルを取る姿は圧巻です。それに五輪のスポーツ効果は絶大で、ポジティブマインドを持ちにくい時代に希望を与えてくれています。

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