P9180047

 1日当たりの新規感染者数が1万人を超えるフランスで、政府は19日、新型コロナウイルスの感染対策の新規則を見直したことを明らかにしました。特に規則違反に対する罰金の大幅な引き下げと導入時期の再考を明らかにしました。

 欧州は現在、英国を先頭に国民の行動を厳しき規制してきた対策を解除する方向にあります。当然、ヴァカンス時期を鑑み、自由に行動できるようにするのが目的です。国民の自由な行動すなわち消費に繋がるため、経済回復にも弾みがつくというわけです。

 ところが、この時期にインド型変異の感染力の強いデルタ株が急拡大し、感染者の多くがデルタ株感染者です。ワクチン接種が進むことで重症化が抑えられているとはいえ、集団免疫ができる状況にはなく、ワクチン未接種者の若者を中心にコロナウイルスが猛威を振るっています。

 フランスは今月12日にマクロン大統領が、これまでの行動規制を解除する一方、医療及び介護従事者へのワクチン義務化とともに、ワクチン接種完了、または感染経験者が最近検査で陰性を証明する政府発行の「健康パス」の提示適用範囲を拡大する方針を打ち出しました。

 政府は当初、ワクチン義務化に伴う罰金、休職、解雇などの厳しい罰則を検討し、健康パス提示が適用されるカフェやレストランでチェックを怠った事業者に45,000ユーロ(約580万円)の罰金を科すとしていました。

 これにはコロナで死に絶えようとしているカフェやレストランが猛反発し、政府は違反の初回に1,500ユーロ(約19万円)、違反回数に応じて罰金を増やす方式に変更しました。医療及び介護関係者のワクチン義務化も罰金導入を見送る方針を明らかにしました。

 新規則を発表して、わずか1週間で最初の基準はかなり引き下げられたわけですが、政府は目的はワクチン接種の加速にあるとしており、新規則の発表でワクチン接種予約が急増したため、当初の目的は達せられたのかもしれません。

 新基準での健康パス提示は、8月から広範囲に適用され、1部に反対する動きもある一方、そもそもワクチン接種そのものに反対する勢力が含まれていることから、政府は新規則そのものを取り下げることは検討していません。

 8月の導入後の試行期間が終わった後の健康パス提示義務違反に関する罰金が導入される時期は明言できないとしながらも、猶予期間は1週間を超えたとしても、1カ月にはならないだろうとアタル政府報道官は述べています。

 一方、水際対策としてはワクチン接種完了の渡航者の入国要件を緩和する一方、一部の国を対象にワクチンを接種していない渡航者への制限を強化する方針を17日に発表しました。

 例えば英国、スペイン、ポルトガル、キプロス、オランダ、ギリシャからの渡航者でワクチン未接種者は、渡航前24時間以内のウイルス検査の結果提示が義務付けられ、ワクチン接種完了者は検査なしの出入国ができるようになりました。

 政府の方針がうまく機能するかどうかは今後の感染状況や国民の反応を見ながら調整も必要でしょうが、マクロン大統領は任期1年を切っており、次期大統領選をにらみ、国民が猛反対する政策は打ち出しにくいのが現状です。

 仏ラジオ局フランス・アンテルの最新の世論調査によれば、マクロン仏大統領、カステックス仏首相は共に前月の調査に比べ、それぞれ2ポイント低下。一方、春以降の新型コロナウイルス対策については42%が満足していると答え、5月より6ポイント上昇しました。

 支持率低下の原因としてはマクロン政権が公約に掲げ、コロナ禍で凍結されていた年金改革に再び着手することを表明したからだといわれています。欧州で最も退職年齢が低い部類に属するフランスは、年金の赤字額が2022年には100億ユーロを超えると予測されており、改革は必須の状況です。

ブログ内関連記事
ワクチン義務化に動くフランス 意外と少ない自由の権利で義務化反対の政治家たち
世界が注目する英国の規制解除 賭けに出たジョンソン首相とコロナ対策に見る国民性の違い
気になるワクチン混合接種効果 今は検証を繰り返し、安全性を確保するのが先決だが
コロナウイルス侮るなかれ! G7英開催地で感染拡大、東京五輪・パラ開催にもリスクの暗雲