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 中国は習近平国家主席が最高指導者になって以来、改革開放で手にした資金を当時、世界覇権に向けて大きく舵を切りました。その結果、4年前に誕生したアメリカ第1主義のトランプ政権によってアメリカの高度な技術や情報が不当盗まれ、途上国を手中に収める債務の罠もあぶり出されました。

 もともと歴史的に欧米先進国と折り合いの悪い中国は、欧米先進国が主導する世界のルールに従う意志はなく、逆に自国独自の社会主義で世界を支配したいという野望を持っているのは確かです。その中国の姿勢がアメリカのみならず、ヨーロッパにも伝わり、今では中国バッシングは世界に拡がっています。

 これで覇権主義は容易でないことを学習しつつある中国ですが、コロナ禍で先んじて感染拡大を押さえ込み、経済復活が顕著な中国は、再び世界への開放姿勢を強めていますが、世界は中国に対して心を閉ざす現象が強まっています。

 本来は経済は政治とは別物で、アメリカが進める「デカップリング(分離)」は、アメリカにも犠牲を強いるもので、今回の米大統領選でも暗い影を落としています。グローバル化で職を失った米ラストベルト地帯にトランプ大統領は企業を呼び戻すとはいったものの十分な結果を出せませんでした。

 むしろ、アメリカは米中対立で高額な投資や想定していた改革は実行できず、苦戦が続いています。一方、中国はコロナ禍後の経済復調が問題なく進んでいるように中国メディアが伝えていますが、実態、アメリカとの対立がもたらしたダメージは非常に大きいはずです。

 対中強硬路線に舵を切ったヨーロッパやオーストラリアのように他の国が中国追い出しに追随する動きも出ている中、途上国のふりをして利益を上げてきた中国は次の手を考えざるを得ないのが実情でしょう。つまり、世界に刺激を与えすぎ正体が明らかになり、戦略変更が必要な時期に入ったといえそうです。

 仏日刊紙、パリジアンは1日5万人の新型コロナウイルスの新規感染者出しているフランスが2度目のロックダウンを行う中、路上で中国人に唾を吐き掛けたり、殴ったりする被害が急増していることを伝えています。理由は中国人がフランスにウイルスを拡散させ、ロックダウンを強いられていることへの怒りです。

 中国は今、主要貿易相手国の間で反中感情が劇的に高まっており、中国とは友好的だったはずのドイツでさえ、米調査会社の報告では、中国に否定的な印象があると回答した比率はドイツ人で71%に登っており、米国人の73%に迫っています。韓国人のなんと75%がネガティブです。

 今の中国経済の回復基調は、他の先進国がコロナ禍にある中で中国は1時的な退避場所になっているだけで、世界の他の地域が立ち直った際には、対中投資は冷え込む可能性が高いと、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は指摘しています。

 中国は今、アメリカ大統領選に見られる混乱と国内の分断、ブレグジットで欧州連合(EU)の求心力が低下するヨーロッパを見て、漁夫の利が得られると考えているかもしれません。しかし、そこまで世界の経済システムは膳弱とは思えません。

 トランプ氏が勝利した場合だけでなく、バイデン氏が勝利し民主党が政治運営したとしても、中国との経済のデカップリングは元には戻らないというのが大方の見方です。特に注目点は、ヨーロッパと中国が交渉を続ける投資協定が決裂した場合、世界の中国離れは加速すると見られています。

 中国は国内に誘致した外国企業からの不当な技術盗用に非難が集中する中、外国企業(特に自動車産業や金融)が中国で事業を継続しやすいよう、批判されてきた合弁事業要件の一部を廃止する新ルールを設定しました。それで米電気自動車メーカーのテスラや米金融大手JPモルガン・チェースなどの投資につなげています。

 それに実力をつけた中国企業、特にハイテク産業への支援を行ない、アメリカや日本から得ている高度技術を伴うハイテク部品を国内で調達できるように舵を切っています。

 「国際通貨基金(IMF)の2019年11月のワーキングペーパーによると、中国の情報通信技術(ICT)セクターの生産性の伸びは、過去20年間の同国のあらゆるハイテク産業の中で群を抜いている」とWSJは指摘しています。
 
 しかし、批判を浴びる新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧や香港への一国二制度の破棄への動きを変えるつもりのない中国の新たな経済政策は、中国の孤立化を加速させ、うまくいかなくなる可能性は高いとWSJは結論づけています。つまり、世界的分断と混乱で漁夫の利は得られないという話です。

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