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 反トランプでこの4年間、論陣を張ってきた米報道専門TV、CNNは、現地時間22日に行われた米大統領選の最後の討論会は、民主党のバイデン候補が53%で勝利したと報じました。アメリカには政治的中立や客観報道重視の文化はなく、多くのメディアは民主党寄りといわれ、4年前の選挙では大半のメディアが当選予想を外しました。

 それはともかく、90分の討論会で気になった一つは、外交問題で北朝鮮の非核化について、トランプ氏は非核化はともかく、自分の在任中、北朝鮮からアメリカに向かってミサイルが飛んでこなかったという、いつもの主張を繰り返しましした。

 ところが、バイデン氏は北朝鮮の非核化でトランプ政権は無能だったと批判しながら、「朝鮮半島を非核地帯にすべきだ」と北朝鮮ではなく朝鮮半島といいました。韓国が聞けば驚く話です。これを「もし朝鮮半島が統一されても、朝鮮半島の核武装は私の政権は認めない」といえば、筋は通るかもしれませんが、それでも現実的な話とはいえないでしょう。

 もう一つの重大失言と思われるのは、民主党が力を入れる環境問題でパリ協定への復帰や温室効果ガス削減に積極的に取り組むことを主張したのは当然ですが、勢い余って、温室効果ガスの元凶の一つとされる石油やシェールガス産業への支援をやめると発言したことです。

 コロナ禍で経済回復が大統領選後の喫緊の課題であり、特に雇用創出に国民の注目が集まる中、あたかもバイデン氏が政権を担えば、アメリカ経済に貢献し、多くの雇用を生んできた基幹産業であるオイルビジネスを終わらせるという発言は、期間を示さなかっただけにテキサスなどオイル産業の集積地は聞き逃すことはないでしょう。

 この2つの失言とも取れるバイデン氏の発言は、前回の第1回目の大統領選討論会のような醜い個人攻撃に終始し評価を下げたトランプ氏が今回冷静だっただけに、今後に影響がありそうです。無論、今後、発言を訂正する可能性はありますが、リーダーシップに関わる討論会の一発勝負の場での失言でバイデン氏の高齢懸念が懸念されます。

 朝鮮半島問題や中国問題は、大統領選では争点になりにくいテーマですが、バイデン氏が不利なのは、彼が前オバマ政権で副大統領だっただけでなく、50年近く民主党に在籍し民主党政権で政府の中枢にいたことで、過去の政治業績でトランプ氏から衝かれる要素が多いことです。

 トランプ氏は実際、オバマ政権で副大統領職にあったバイデン氏が北朝鮮の非核化で何もしてこなかったと批判してきており、バイデン氏の民主党の重鎮としての功績には厳しい批判も浴びています。外交のプロともいわれたバイデン氏が朝鮮半島の非核化という現実にない話をしたことには違和感を覚えます。

 同時に2人の候補者の討論する姿を見ながら、アメリカの長い歴史が引きずってきた根の深い人種差別問題を思い起こしました。白人の抑圧下で平等の権利を主張してきた黒人に対して史上初の黒人のオバマ大統領の誕生と8年間の政権支配でアメリカは変わりました。

 その変化で今度は白人の側の不満が高まり、白人至上主義の支持者も多いトランプ氏が反動として大統領に選ばれたともいえます。

 近年、白人警察官の黒人への暴力のエスカレートが政治問題化していますが、背景にオバマ政権以降、犯罪に手を染める黒人たちが白人警察官の前で横柄な態度をとるようになったことが指摘されています。私のアメリカの白人の話を聞くと、法を無視する黒人たちへの批判がタブー視され、メディアで封殺されているといいます。

 この根の深い問題でも、黒人重視を掲げたバイデン氏の50年近い政治キャリアは無視できず、バイデン氏が皮肉にもトランプ大統領を生んだようにも見えます。

 本来は党派を超えて、自由、平等、公正の国家の根幹に関わる価値観や、建国理念を支えるピューリタニズムに回帰し、国家を再建すべきなのでしょうが、まるでそれらを忘れ、自分の都合にいいように国家理念を解釈し、分断しているようにしか見えません。

 そこから見えることは世界の大混乱です。この分断に独裁主義、権威主義の国々が攻撃を仕掛けてくるのは確実で、すでに大統領選にサイバー攻撃を仕掛けています。意見の対立点を鮮明にするのが欧米文化です。しかし、新しい価値を創造できない分断のまずさにアメリカ人はあたかも気づいていないようです。

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