Leadership-Role

 今、世界中が1か月を切ったアメリカの大統領選に注目しています。特にトランプ大統領とバイデン前副大統領のTV討論会の結果、劣勢に立つトランプ氏が新型コロナウイルスに感染しながら、それを利用して、どう巻き返すのかは、まるでハリウッド映画を観ているようなハラハラドキドキのドラマチックな展開です。

 しかし、どちらが勝ったとしても、その勝者が直面するアメリカ内外の難問は、過去の経験知では到底対処できるものではなく、想像を絶する困難が待ち受けているのも確かなことです。それはアメリカだけでも政治だけでもなく、ビジネスを含め、ありとあらゆるリーダーにとって過去に経験したことのないレベルの試練を与えています。

 それは一言でいえば「予測不能な不確実な変化」が起きていることであり、確実なのは元の世界に戻ることはないということです。それは衝撃的な出来事が一つ起こったというよりも、いくつもの衝撃的な出来事が波状攻撃のように押し寄せているために、対応しきれない状態です。

 アメリカだけを見ても今年は、訴追直前に大統領を辞任したニクソン氏を除き、米国史上3人目となるトランプ大統領弾劾裁判の無罪判決で始まりました。その後コロナ禍に襲われ、景気は急激に落ち込み、大量失業者を出しました。

 さらに警察による黒人差別が社会問題化し世界に拡散し、ロックダウン(都市封鎖)のストレス、コロナ感染による死の恐怖、先の見えない中での不安は、多くの人々の心を蝕み、冷静に物事を考えるより、自暴自棄になるか引き籠もるかで助け合う精神も薄れています。

 政治家やビジネスリーダーができることは限られており、新型コロナウイルスという巨大津波に襲われ、その津波の原因も正体さえも分らない状態です。つまり、リーダーが何をやったとしても本質的な問題解決はできず、彼らのせいでもないことで批判を浴びる最悪の状況です。

 それでもクライシスマネジメントの基本はリーダーシップです。聖書の最終章の黙示録に書かれたような大患難のような時代にあっても、リーダーを選ぶことの重要性は変わらないはずです。そのリーダーは正しい方向に人々を導く特別な感性を持っている人です。それでもその人でさえうまくいく保障はありません。

 アメリカ大統領選を見ているわれわれは見物人ではなく、自分にも影響を与えることとして見る必要があるでしょう。単にリベラルと保守の対立ではなく、平時ではない未曾有の危機に直面する世界に対して、特別な感性と人並み外れた決断力を持つクライシスマネジメントができるリーダーを選ぶべきでしょう。

 キリスト教の国であるアメリカでは、このような時に謙虚であることを強調しています。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「2020年は米国史の転換点、前方は視界不良」という記事で、今の状況に対して「謙虚でいるためには、誰も正確な影響を計り知ることなどできないと認めることが必要だ」と書いています。

 もし、その現実を受け入れることなく、虚勢をはるだけのリーダーなら、大患難時代を乗り越えることはできないでしょう。その典型が無用の長物である権威主義です。無論、その困難に押しつぶされるような弱いメンタルの人間ではリーダーは務まらないのも確かです。

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