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 SNSの普及で主要新聞やTVなど既存メディアへの信頼度が落ちる中、SNSの影響力は高まる一方です。何より共感が今の時代のキーワードと言われる中、政治家たちもSNS上での議論に左右される傾向があります。

 そんな中、警察の暴力と人種差別が世界的テーマとして注目され、過激な極左の反ファシズム組織、ANTIFAなどによるヘイトスピーチが騒乱を起こす原因になっていることもあり、SNS上での扱いも問題視されています。

 フランスの憲法評議会は今月18日、インターネット上のヘイトスピーチ対策法の違憲審査の結果を発表し、問題コンテンツを24時間以内に削除することを義務付ける法律の主要部分の削除を命じました。ヘイトスピーチの社会への悪影響を抑えたい政府にとっては痛手となる内容でした。

 同法律は、下院議員のアピア氏が提案したことから、アビア法と呼ばれていますが、保守の野党・共和党の上院議員団が違憲審査請求を行い、審査が行われていました。結果として同法律が定める通報を受けてから24時間以内にSNSのプラットフォームからの削除を義務づける点に問題があると指摘され、削除が命じられました。

 つまり、ヘイトスピーチは有害であり、SNSから削除すべきという点では問題はないのに対して、審査する時間が通報から24時間と短いことで、逆にSNS運営者側が十分に内容を吟味することなく削除する結果を生み、表現の自由が保証されなくなる可能性があるというわけです。

 ヘイトスピーチ対策法では違反した場合、SNS運営企業に対して最大で世界売上高の4%に相当する高額の罰金を科すことができる旨も定められています。憲法評議会は、対応時間が極めて短いことから、プラットフォーム側が罰金を逃れるために問題のないコンテンツまで削除する過剰反応に繋がるリスクを指摘しています。

 つまり、同法律では表現の自由とヘイトスピーチ対策の間のバランスを実現でいるとはいえず、24時間以内に削除するという部分の関連条項の削除を命じたわけです。

 ただ、ヘイトスピーチの蔓延を防ぐための対策として、ヘイトスピーチ担当の検事局を設置することや、放送行政監督機関(CSA)の下にヘイトスピーチ監察局を設置すること、学校教育でヘイトスピーチ問題の啓蒙教育を行うことなどの条項については維持されることになりました。

 イスラム過激派のテロ対策でも、聖戦主義を蔓延らせないために学校の教育現場で聖戦主義の間違いを教えるとか、移民貧困層からテロリストが生まれている実態を考慮し、格差是正に取り組むとかはフランスで何度も試みられていますが、成果をあげていません。

 ヘイトスピーチの蔓延に対して罰則は必要です。しかし、SNS運営者側の自主規制だけでは限界があるのと、極めて政治色の強いテーマなだけに審査も困難を極めるデリケートな問題であることは確かです。

 言論の自由や表現の自由と社会秩序のバランス問題では、たとえばフランスで2015年1月に起きた風刺週刊紙シャルリ・エブドー編集部襲撃テロがあります。イスラム教で禁じられているムハンマドを卑下するイラストを数回掲載してきた同週刊紙は、度々イスラム教徒から批判されてきましたが、テロで有名な編集者や漫画家が殺害されました。

 極左思想を持つ無神論のシャルリ・エブドーは、表現の自由を楯にローマ法王でさえ、笑いの種にしてきました。イスラム教を蔑視する内容はイスラム系移民への憎悪を増幅させることに繋がっています。発効部数は落ちるばかりですが、ヘイトスピーチに十分繋がる内容を持っています。

 問題はSNS上では右でも左でも極端な意見が支持される傾向があることです。原因の一つは既存メディアが自主規制で、本当は分かっている情報を出していないことや、何でもバランスをとろうとする傾向が強いことです。結果、非常に歯切れが悪く気分を害することも少なくありません。

 また、CNNやBBCなど、最初からアンチ・トランプを全面に出しているメディアは、トランプ支持者でなくとも偏向が不快感を与えています。SNS側もプラットフォーム運営側のアルゴリズムが公表されないことです。もしかすると大量の資金を注入することで某国が都合の悪い論調が多いサイトを検索で下位に出るよう操作しているかもしれません。

 非常に難しい問題ですが、明らかに社会秩序を破壊する意図的煽動言論を排除するため、全世界が努力すべきです。それに個人個人がヘイトスピーチを見分けるスキルを身につける必要があります。その見分け方は「何を語ったかではなく、何をしたか」であり、「どんな結果をもたらしている」かだと思います。

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