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 コロナショックで製造業はサプライチェーンが寸断され、特に中国依存が問題になり、重要産業の国内回帰への動きも出てきています。トランプ米大統領の登場でグローバル化は足踏みを始め、コロナ禍でグローバルビジネスの要でもある移動の自由が大幅に制限され、深刻なダメージを受けています。

 企業は海外に赴任者を送り込もうにも入国制限で出発できず、感染拡大を恐れ、日本に一時避難した駐在員も数か月間も戻れない状況が続いています。国際業務はなんとかリモートワークでしのいでいますが、中国にある某日本企業では監視が手薄になり、在庫の高額の電子部品が消えたという話も聞いています。

 一見、コロナ禍はグリーバルビジネスにトドメを刺したかのように見えますが、各国の消費者が国内生産に切り替えたことで高額になった商品を買うとは考えずづらく、企業の国際競争力も落ちることを考えると、国内回帰には限界もあります。

 自由貿易が世界経済を支えている現状が大きく変更されることは考えにくく、むしろ、コロナショックで深刻なダメージを受けた企業の国際的な再編が始まるのは必至です。特に一国の総労働人口の約一割を占める自動車産業は今後、大規模な再編に動き出すのは確実視されています。

 つまり、企業は生き残りを掛けた高度な経営判断を下す必要があるだけでなく、再編から生まれるグローバル企業の現場運営に関わる人材は、益々必要になるということです。あまりいい見本とは言えませんが、日産のゴーン前会長のようなタフでグローバル企業を牽引する人間のニーズは確実に高まることが予想されます。

 中には、グローバル化が足踏みしたことで、グローバル人材は必要なくなったと勘違いする企業もありますが、ボヤボヤしていると台湾や中国企業に買収される日本企業も増え、結局、リーダーとして役に立つのは経営陣が持ち込む異文化に対応できるグローバル人材のみということにもなりかねません。

 リーマンショック後、約2年間は日本企業はグローバル人材育成で足踏みしました。いかに先を読む力が落ちていたかということです。近年、世界を驚かすようなビジネスモデルを日本は生んでいません。それもグローバルに発想できる人材がいなくなっていることと関係しています。

 最近、移動制限と人との距離によって生まれたリモートワークの活用が増えています。国際業務も出張が物理的にできないためにリモートワークでしのいでいます。しかし、重要なことは、もし国際業務に関わる人間が、異文化間コミュニケーションスキルやグローバルマネジメントスキルを習得していれば、リモートワークでも成果を出せることに気づいていないことです。

 アメリカ・テキサス州ヒューストンで昨年初頭に会った日本人ビジネスマンは「日本から様々な指示を出していたのだが、何も改善されないので3か月滞在して現場を改善するために来た」と渡米目的を説明してくれました。ところが具体的中身を聞くと、当人がアメリカ人の仕事の進め方をまったく理解しておらず、コミュニケーションの取り方にも問題があることが分かりました。

 つまり、もし本人がグローバルマネジメントの知識を持ち、アメリカ人の仕事の仕方を理解し、文化を超えた精度の高いコミュニケーションをとれていたら、十分に遠隔でも解決できた問題だったということです。結局のその日本人はヒューストンに来たのに事態を改善できず、滞在は8カ月に及び、それでも成果は出せなかったと後で聞きました。

 日本でうまくいっていることを完全移植することは不可能です。しかし、リモートワークでも世界中の仲間とチームを組んで成果を出しているケースもあります。多文化のチームビルディングで上手にリーダーシップを取るスキルを持っていたからです。

 大局的、グリーバルな視点でビジネスを俯瞰し、より懸命な判断を下せる人材は、世界で尊敬を集め、そんなリーダーに人はついていこうとします。上司に忖度ばかりして自分の意見はなるべくいわないような人間は日本にはあまりにも多い。激変するコロナ後の世界にはグローバル人材の準備が必要です。

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