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      La belle jardiniere

 今年はイタリア・ルネッサンスの3大巨匠の一人ラファエロの没後500年にあたり、ローマのスクデリエ・デル・クイリナーレで今年3月5日から6月2日の予定で史上最大規模の「ラファエロ展」が始まりました。ところが新型コロナウイルスのイタリアでの感染急拡大のロックダウンで美術館はすぐに閉館となり、外国人旅行者はイタリアに入れなくなってしまいました。

 イタリア政府は現在、2カ月にわたった封鎖措置の段階的緩和を急ピッチで進めており、6月3日からは外国人も入国後、2週間の隔離が必要なくなり、EU圏内の自由な移動も可能になる見通しです。それに伴い、余程大規模な感染第2波がイタリアを襲わない限り、EU圏外からの旅行制限は6月15日には解除予定です。

 これに伴い、ラファエロ展は6月2日から8月31日まで開催が順延となり、イタリア在住者以外の人もラファエロ展を鑑賞できる日が来るということです。イタリアではすでに今月18日以降、順次、美術館も開館しており、入管制限はあるもののマスク姿の来館者が少しずつ増えていることが報じられています。

 パリのルーヴル美術館では昨年秋から今年2月24日まで、昨年は3大巨匠の一人、ダヴィンチ没後500年を記念した「ダヴィンチ展」が開催されました。4カ月間の来館者数はなんと同美術館の最多の110万人を記録し、ダヴィンチ恐るべしという印象ですが、フランスがロックダウンする3週間前に展覧会を終えました。

 それでも2月に入り、外国人旅行者が激減したことを考えると、コロナ禍がなければ、もっと多くの来館者が記録されたことでしょう。そのため、イタリアではラファエロ展にも観光経済効果としても大きな期待が寄せられていました。今年、ダヴィンチ展に次ぐ欧州最大の注目展だっただけに再開を待ち望む声は大きかった。

 ソーシャルディスタンスや入館人数制限が完全に解除されるないため、7月、8月のヴァカンス時期に外国人旅行者が例年規模戻るとは思えません。37歳で他界したラファエロはダヴィンチと違い、絵画以外の多岐に渡った業績があるわけではなく、ダヴィンチのように21世紀のデジタル、AI時代にも通じる様なインパクトはないかもしれません。

 世界各地の著名美術館から借りての200点に上る作品が展示される過去最大規模の展覧会だったので、時期が大幅にズレたことでの調整は相当大変だったことが予想されますが、美術関係者なら事情は理解できるでしょう。67歳まで生きたダヴィンチが非常に少ない作品しか残していないのに対して、短命だったラファエロは多産の画家でした。

 そのため、世界中から作品を集めるのに苦労が想像されますが、本家ローマの頼みにほとんどの美術館は順延に快諾したそうです。今時点の発表では、通常の来館者の25%に入館制限し、事前予約で6人毎にグループが作られ、係員にエスコートされ、80分間鑑賞可能とのことです。

 現在、ラファエロ展については、オンラインで展覧会を公開しており、その他スクデリエ・デル・クイリナーレのYouTubeチャンネルでもラファエロに関する動画が公開されています。

 ラファエロとして知られるラファエロ・サンツィオは当時、ルネッサンスの牽引役だったウンブリア州ウルビーノで生まれ、ピエロ・デッラ・フランチェスカなどに師事し、イタリア全土で大成功を収め、1500年代初頭にローマに到着し、同じ3大巨匠の一人、ミケランジェロを支援していた教皇ユリウス2世の目に止まった天才画家です。

 女性を描いて右に出るものはいないといわれ、とりわけ聖母像に出てくるマリアは、他のルネッサンスの画家の中では群を抜いているといわれています。子供の柔らかな肌の描写にずま抜けています。

 ラファエロ展が再開されるスクデリエ・デル・クイリナーレは、イタリア大統領官邸のあるクイリナーレ宮殿の向かいにあり、もとは宮殿の厩舎として18世紀に建てられた建物を大規模改修し、1999年に美術館として公開されました。ロックダウンを断行した大統領官邸の向かいで、今度は経済再建のためのラファエロ展が再開されるということです。

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