Rogingya peple
  バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ

 中国で職を求めてロックダウンが解除された大都市、武漢などに押し寄せた農民工が職が見つからず、路上生活を強いられ、来た時と同じバスで郷里に引き返す姿が世界に報じられています。新型コロナウイルスの感染を押さえ込んだと思われたシンガポールのインド人など外国人労働者が働く劣悪な宿泊施設でクラスター(集団感染)が発生し、問題になっています。

 フランスでは東ヨーロッパから出稼ぎに来た労働者が多数の働く食肉工場数カ所で、クラスターが発生し、不衛生で3密が日常化していた劣悪な生活環境が批判されています。日本でも勤める自動車生産工場の稼働が落ちるなどして解雇を言い渡され、暮らしが成り立たず途方に暮れる外国人労働者が急増しています。

 多くの外国人労働者は自国に戻っても職はなく、だからといって働き先の国で新たな仕事を探せる見通しもない人々が、慣れない異国で疫病の恐怖に怯えながら立ち往生している現象が世界中で起きています。無論、経済再建が進み、景気が戻ってくれば問題が解決する部分もわけですが、経済が元の状態に戻るまでには相当な時間が掛かりそうです。

 その国の国民も失業状態に陥っているのに、出稼ぎ外国人労働者を助ける余裕もない状況です。そこで浮上しているのが、先進国の企業も政府も、なぜ、長年、外国人労働者に対して低賃金と劣悪な生活環境で働かせることを放置してきたのかという問題です。

 それも多い場合は、国際的な仕事斡旋業者に犯罪組織が多く、高額な手数料を取って借金漬けにして暴利をむさぼっている実態は、何度も問題になっていますが解決していません。日本で働いたことのあるベトナムの農家出身の若い女性は、悪徳斡旋業者によってヨーロッパに向かい、英国でトラックの中で死んでいるのが発見されました。

 これもグローバル化が生んだ悲劇です。グローバルといえば聞こえが言い訳ですが、実はどこの国の法の手も及ばない無法地帯です。最近、日本から違法国外脱出した日産の前会長ゴーンの逃亡を助けたアメリカ元海兵隊の親子が逮捕されましたが、ゴーン被告もまた、グローバル化で生じた闇で違法行為に手を染めたということです。

 今回の世界的コロナ禍は、容赦なく弱い者から悲劇が襲っています。ミヤンマーを追われ、バングラデシュの難民キャンプで暮らすイスラム少数民族、ロヒンギャの難民キャンプでは不衛生で密の状態が改善されていません。多くの戦争難民キャンプが同じような状態です。当然、非常に高いウイルス感染リスクがあります。

 ブラジルなど南米のアマゾン森林地帯で暮らすインディオなどの先住民族の間にも新型ウイルスの感染が拡大していることが伝えられています。医療の整備が遅れている地域では、症状が悪化すれば死を待つしかない状況ですが、事業家たちは森林伐採に反対し、開発を阻止する先住民が弱体化することを、むしろ望んでいるといわれています。

 容赦なく弱者を襲ったコロナ禍に対して、適切な救済策を講じることは容易なことではありません。しかし、今、感染の脅威に何の抵抗もできず命が絶たれようとしている人々を放置することはできません。イタリアなど逼迫した医療環境で、重症化した患者に対して治る見込みの少ない高齢者より若者を助けざるを得なかった厳しい現実がありました。

 だからといって路頭に迷い、感染リスクに晒される世界で最も弱い立場にいる人を見殺しにすることなどできないはずです。高額年金を受け取る富裕層にも10万円を配るポピュリズム政治には、本当の困窮者への愛情が感じられません。

 人が無理な移動をせず、最低限の生活が保証される経済システムを構築するのが急務ですが、共産主義に戻ることはできませんが、まずは極端な格差社会を解消することが必要でしょう。その基本はわれわれの心が利他的であることだと私は考えます。

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