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  台湾・桃園市

 これまでアジアのシリコンバレーを豪語してきたのは中国の深圳。ところが今、新型コロナウイルスでチャイナリスクが浮上する中、コロナ対策優等国として注目される台湾に熱い視線が向けられています。IT機器のパーツ供給や組立で高い評価を得てきた台湾のハイテクインフラはアメリカIT企業も魅了しているようです。

 フォーカス台湾というニュースチャンネルは「米アップル社が台湾に工場を新設する方針であることが分かった」と報じました。場所は「すでに同社が拠点を設けている北部・桃園市の龍潭サイエンスパーク(科学園区)の2期エリア内」として、すでに今年2月に新工場開設の認可を同社は受けていたことも同パークを管轄当局に確認済としています。

 報道によれば、アップルは桃園市郊外に位置する同パーク総面積約76ヘクタールの1期エリアにすでに拠点を構えており、今度は2期エリアに工場を建設する方針。1期エリアには半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)や液晶パネル大手などが入居しているといいます。

 台湾政府は「アジア・シリコンバレー計画」を着々と進めており、特にアジアを代表するハブ空港の1つ、桃園国際空港のある桃園市は交通機関の整備が進んだことで首都の台北市と生活圏を共にし人口成長率は同国トップです。台湾はすでにPCやスマートフォン、プリント基板、液晶パネルなど、様々な高品質の情報通信技術(ICT)製品で知られています。

 台北市の仏系金融機関で働くフランスの大学の私の教え子は「コロナ禍で中国投資規模縮小の動きが始まる中、コロナ対策で得点を稼いだ台湾は世界のIT企業から注目を集めている」とメールを送ってきました。彼はフランス生まれの中華系カンボジア人難民2世です。アジア・シリコンバレー計画は、IoT分野で様々なイノベーションを起こしていこうというプロジェクト。

 現地の報道では、桃園市内には新幹線駅前の「アジア・シリコンバレーセンター・イノベーションセンター」、桃園・亀山工業区エリアの「IoTイノベーションセンター」、その他ベンチャー企業の創業支援・イノベーションを行う「国際青年起業ビレッジ」の拠点づくりが進められています。

 電子機器の受託製造サービスでは世界最大手の鴻海精密工業が近く最新の業績発表をする予定ですが、新型ウイルスで中国の工場閉鎖などで厳しい報告が予測されています。ただ一方で最悪期は過ぎたとの見方が大勢を占めています。同社は日本の家電メーカー、シャープの親会社。

 台湾は新型ウイルス感染拡大を抑え込んでいる国として注目を集め、例えば中国製マスクに欠陥品が多いとの批判が高まる中、台湾製マスクの評価が高まっています。世界各国で防疫物資が不足する中、防疫物資を台湾から購入したいとの問い合わせが数十カ国の行政機関や民間機関から寄せられているとの報道もあります。

 台湾は中国が国連で独立国家として承認しないために、世界保健機関(WHO)から加盟国としての情報が得られず、世界的にも問題視されています。その台湾は中国が影響力を増すWHOを頼らずに感染押さえ込みに成功したといわれ、アメリカのWHO批判を後押しています。

 アメリカのIT企業の台湾投資拡大は、中国にとっては看過できないことでしょう。再選された台湾の蔡英文総統と良好な関係にあるアメリカのトランプ大統領は現在、米中貿易戦争の最中にあり、新型ウイルスのパンデミックの中国責任追及の先頭にも立っています。台湾には追い風が吹いているといえそうです。

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