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 もう30年以上交流している韓国人の知人の行方が、3月に入り分らなくなっていたのが、ようやく電話が掛かってきました。電話口の彼は「私は今、アメリカです。われわれ夫婦は永住権を取るため滞在している」と驚きの状況を伝えてきました。

 親は北出身でソウル大卒のいつも冷静な知人の驚きの行動、それもかなりの高齢の夫婦のアメリカ移住は何を意味しているのかと、電話を受けた後に考え込んでしまいました。要職を歴任し、引退後もソウル市内の富裕層が住む地区で何不自由ない生活を送っていたのに、今になってなぜと思いました。

 知人は数人の子供がアメリカに住んでおり、実は韓国の新規感染者数がピークに達した2月に在米の子供からアメリカに逃げるように強くすすめられ、アメリカに行ったそうです。そこで今度は帰国が困難になる中、前々から考えていた韓国脱出計画を実行に移すことを決めたというのです。

 それにしても高齢夫婦のアメリカ移住は無謀ではと思ったら、韓国では珍しくないというのです。よりよい生活を求めて海外移住するのに年齢は関係がなく、1980年代から増加し、アメリカ、カナダ、オーストラリアには子供の家族が移住して経済基盤ができたら、親を本国から呼び寄せるパターンは一般的だとうのです。

 移住を決めた友人曰く「もう今の韓国にはうんざりだ。特に文在寅政権のでたらめさに堪えられなくなった」と失望感を露わにしました。もともと保守で「北朝鮮は金一族が全員死ななければ分断問題は解決しない」という持論を持つ知人ですが、韓国人では私が出会った尊敬できる数少ないひとりでした。そういえば数年前、北欧で韓国大使を務めた他の知人もアメリカに移住してしまいました。

 私は「でも、アメリカは韓国以上に感染者が多いし、危険ではないのか」と聞くと「確かにニュヨークは酷いけど、うちの息子家族が住む東海岸のウエスト・ヴァージニア州は安全だし、医療もしっかりしている」というのです。

 ついでに、ここ数日、韓国で新型ウイルスの感染が再び拡大していることについて聞いてみると「そりゃそうでしょ。政府はでたらめな数字を並べてきたわけだし、私は驚きませんね」といい捨てました。感染対策の模範国という国際的評価についても「そんなのは、これから消えるでしょ」と否定的です。

 韓国人にしては、まったく激情した姿を見たことがなく、反日感情もなく、何でも前向きな知人の言葉に驚きました。同時に10日ほど前、ソウルに住む他の友人と電話で話した時も「コロナ模範国なんておかしいでしょ」といっていたのを思い出しました。

 韓国は今、政府による緩和措置が裏目に出て、ソウル市内繁華街・梨泰院のクラブを訪れた男が感染源と思われる40人の感染が確認されました。感染封じ込めが成功したはずの韓国では、再び増加に転じた感染者数を前に緊張が走っているようです。ソウル市はクラブなど市内すべての遊興施設に対して集合禁止命令を出しましたが、1時的な現象かどうかは不明です。

 フランス上院の報告書が「韓国はコロナ模範国」と賞賛したばかりですが、経済破綻も指摘される韓国では、喜んでいるのは政府だけで国民には複雑な思いがある事を垣間見た思いでした。実際、知人のように海外移住できる富裕層はいいにしても逃げ出せない中間層、貧困層の韓国人は複雑な思いです。

 半島に住む人間は大陸や島国の人間とは違うといわれています。今ではフィリピンやベトナムなどに住む韓国人も増えています。マスコミで報じられているような新興国から先進国へ邁進する韓国とは違った側面があることは無視できないことです。

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