Montmartre_Paris
  パリ・モンマルトルで似顔絵を描いてもらう中国人の子供

 シンガポール人の男子学生がロンドン市内で暴行を受けた事件で、ロンドン警視庁は容疑者4人の画像を公開し、犯人割り出しに本腰を入れています。事件は2月24日夜に市中心部トッテナム・コート・ロード駅近くのオックスフォード通りで発生し、23歳の学生は路上で顔を殴られ負傷しました。

 学生の証言で、若い男の集団の近くを通り過ぎた際、男の1人が「コロナウイルス」と言うのを聞いて振り向いたのに対して「こっちを見るな」と男が殴り掛かったてきたそうです。「俺の国にお前のコロナウイルスはいらない」と叫び、警察が駆けつけたときはその集団は逃走した後でした。

 一方、フランスではパリ・ドゴール空港でアジア系の利用者に対して乗車拒否が起きており、レストランでも入店を拒否したり、通りから見えにくい奥の席などに誘導されたりしています。フランスでは、この10年、アラブ系移民のギャング集団が金持ちの中国人を襲撃する事件が相次いでおり、そこに新型コロナウイルスが加わった形です。

 英国メディアは、シンガポール人に対する偏見や差別は英国人の間にはないといい、フランスでは観光で最も重要な外来客の中国人は大切にされているなどとメディアが指摘しています。しかし、西洋人にとって、アジア人は中国人も日本人もシンガポール人も見分けがまったくつかないのが現状です。

 フランス人の友人の一人は「最も有効な手段は、イスラム女性のように頭にスカーフをするか、男ならユダヤ教徒のように頭にキッパをしたらどうか」などと適当なことをいっています。理由は共産主義の中国では宗教は排斥されているからです。

 しかし、中国に次いで韓国で新型コロナウイルスの感染者が増えていることから、アジア人に対する警戒感は強まる一方です。逆を考えて見た場合、たとえばアメリカで爆発的に感染が拡大すれば、アジアでは白人を見ると嫌な顔をすることも考えられます。しかし、欧米人の間に未だに残るアジア人に対する優越意識は、アジア人にはありません。

 とにかく新型コロナウイルスの発生源が中国ということがアジア人にはかなりの悪影響を与えています。私が関係している某日本企業のドイツ・フランクフルトで予定されていたビジネスミーティングが急にテレビ会議に切り替えられたりしています。

 アジア人差別は、ヨーロッパに台頭する偏ったナショナリズムや極右の考えを持つ人たちにも拡がっています。かつてバブルの時代の1980年代後半、パリのシャンゼリゼ通りやニューヨーク五番街の高級ビルを日本企業が買い漁ったように、中国が同じことをしており、パリの高級ホテルのオーナーが中国人というケースも増えています。

 日本人はなんとか相手の国の文化やルールを尊重することで定着してきましたが、中国、韓国は自国の民主主義、法治国家も確立していないために、ルール破りは日常的に行われ、ヨーロッパが構築してきた文明に対する敬意も払われていません。

 ヨーロッパでは、途中で教育をドロップアウトし、窃盗や麻薬密売の軽犯罪に手を染め、その日暮らしの若者が増え、グローバル化に置いていかれた彼らが極右やイスラム過激派に傾倒するケースは増える一方です。彼らにとって豊かなアジア人は不快でしかありません。

 各国政府当局も、アジア人襲撃などを抑える手段を持ち合わせておらず、事件が起きてから対応するのが精一杯です。ヨーロッパ人の大半はアジア人に対する差別意識がないという意見もありますが、差別はなくても同等とは思っていない人は少なくないと私は思っています。

 こんな2020年になることを予想した人はいなかったと思いますが、急ぎすぎたグローバル化に人の心がついてきていなかったことが、思わぬ事態で表面化したともいえます。しばらくは日本人を含むアジア人がヨーロッパで排斥される状況は続きそうです。

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