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 私は治安分析を25年にわたり行ってきた人間として、ウイルスはイスラム聖戦思想にそっくりだと感じています。過激聖戦主義はウイルス同様、目に見えず、ネットなどを通じて次々に拡散し、感染した人間は戦闘地域に向かうのに、経路を隠すためにいくつもの国を経由し、移動します。

 その人間が戦闘で死亡すれば次ぎのテロリストが送り込まれてきます。それぞれの国には政治的思惑もあり、聖戦思想を利用する国もあります。聖戦主義は差別や貧困に苦しむ移民系の若者に拡がりやすく、人材獲得リクルートを継続するだけでなく、人から人に次々と感染します。

 社会をドロップアウトした聖戦主義に感化されやすい若者の多くは窃盗や傷害事件を起し、刑務所にいます。刑務所は聖戦主義を広める恰好の場所です。また、聖戦主義の感染ルートは複雑で昨年はフランスのパリ警視庁の職員が聖戦主義に傾倒し、同僚を殺害する事件も起きています。

 シリアでの戦いは独裁者のアサド政権打倒のために欧米諸国は、イスラム過激派の反政府勢力に武器を供給し、結果、邪悪なイスラム国(IS)を成長させました。彼らは非常に狡猾で旧約聖書に出てくる黒い蛇のようです。

 世界をパニックに陥れている新型コロナウイルスの猛威は、結論から言えば、ウイルスというリスクの正体が判明していないことにあるのは明らかです。そのため、中国・武漢を含め、感染拡大を封じ込める見本になるような措置が取れている国や地域が見当たりません。

 それも運悪くリスクマネージメントにとって、最も重要な精度の高い情報収集という意味で、中国が発症源なために、公表される情報には常に政治的フィルターがかかっています。致命的なのは、中国からインフラ投資が全体の8割を占めるエチオピアの出身である世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が常に習近平国家主席に忖度し、歯切れが悪いことです。

 実は多くの先進国は、感染病の発生に対してはWHOの見解を最優先させています。そのWHOが中国経済にダメージを与えないよう正確な情報や分析を示せていないことは致命的です。弱小国出身者がトップを占める国際機関に不信感を持つアメリカは今回、ますますWHOに失望しているはずです。

 状況分析が正確でなければ、リスクマネジメントで最も重要な初動対応の失敗に繫がり、被害は増大するものです。事実そうなっています。問題はWHOがどこを向いて仕事をしているかですが、人命よりは政治となれば、全てがおかしくなるのは当然です。

 しかし、新型コロナウイルスの世界的猛威で最も恐ろしいのは、グローバル化が進み過ぎ、一時的な退避場所をわれわれはなくしていることです。たとえば東西冷戦期にはスイスなどの中立国が逃げ場として活用されました。今は世界のどこを探しても、たとえば投資家が退避する場所はありません。

 実際、新型コロナウイルスのパンデミック化が指摘されていますが、1国でもいい加減にしか対処しない国があれば、人は激しく移動しているために他の国への拡散リスクは抑えられません。欧州では、人の移動の自由を保障するシェンゲン協定で出入管を簡略化したため、2015年以降のテロの頻発に対してテロリストの移動の監視が困難になりました。

 増してウイルスは目に見えないため、ウイルス感染地域からの渡航をブロックし、ウイルス感染者を特定・隔離するしか方法はありません。それも移動する人間は感染者の烙印を押され、移動が宣言されるのを嫌うため嘘もつきます。

 本当は武漢の住民なのに北京や上海から飛行機に乗って日本に来れば分かりません。感染が集中するイタリア北部の人間でも、幾つかの国を経由すれば、フランスやベルギーに入国してもチェックできません。まるで欧州内を移動する聖戦主義に感染したテロリストのようです。

 新型コロナウイルスは世界に放たれたブラックスワンになりつつあります。感染者はテロリストではありませんが、全ての国が真剣に対処しなければ、ウイルスが退避場所を見つけるかまもしれないような状況です。

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