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 クロス・ラミネィティド・ティンバー(CLT)と呼ばれる集成材で建てられる集合住宅

 フランスで環境に考慮した木造建築に注目が集まっています。本来、フランスの戸建て住宅は、鉄筋コンクリートブロックの工法が一般的ですが、最近、温室効果ガスの削減に貢献する工法として木造建築に熱い視線が向けられ、戸建て住宅だけでなく、マンションの様な集合住宅にも木造建築が出現しています。

 といっても木造建築といえば、フランスでは数百年前のアルザスやノルマンディー、ブルターニュ地方の木組み住宅やシャーレと呼ばれる山小屋、山間部に個人的趣味で北欧スタイルのログハイスを建てる程度で、そもそも木造住宅を建てる大工は近年、激減している状態でした。

 ヨーロッパには「3匹の子豚」の話があり、自立する子豚で狼に食べられないのはレンガづくりの家だけだったという言い伝えがあります。聖書には岩の家に建てた家だけが生き残れるという話もあり、石づくりは外敵から守る意味もあり、文化として定着しています。

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  中世から19世紀まで建てられていたフランスの木造建築物

 最近注目されているいるのは、日本でも知られる欧州初のクロス・ラミネィティド・ティンバー(CLT)と呼ばれる20センチほどの厚さの事前に規格サイズでカットされた集成材を用いて、まるでコンクリートパネルの工法の延長線上のように建てる方法です。コンクリートと木材を組み合わせ、柱と床はコンクリートにし、外壁や家の中の壁は木材にする工法も用いられたりしています。

 最もポピュラーなのはティンバーフレーム工法で、構造部材の中に断熱材が入り、内装は木材かプラスター仕上げで、外装は板張りから石まで施主の好みで決めるというものです。木造建築の注目点は断熱効果が高いことで、防音、遮音にも優れているといわれています。

 今脚光を浴びている理由の一つは、木材だけ、或いは木材を多用することで、コンクリートブロックの製造で排出される二酸化炭素の量に比べると、木材はそれがゼロなので環境に大きく貢献することになります。

 そのため、戸建てだけでなく、木造の集合住宅も現れています。鉄筋コンクリート(RC)に比べ、材料費は高い一方、納期はRCが1フロアに1カ月を費やすのに対して、木造では1週間でできるメリットがあります。人件費の節約にもなります。

 フランスは南西部に地震が発生するので、木造建築の耐震性は証明されておらず、地震のない地域に積極的に建てられていますが、数10年に1回、フランス全土で微震があり、昨年は西部ブルターニュ地方で微震が観測されました。それと暴風雨などで実際に木造住宅に住み人は「きしみがある」という一方、「きしみを含め、生きている木の中に住むのはいい気分」などといっています。

 このブログでは以前、大型の3Dプリンターロボットを使い、10日間で建てられる工法を紹介しましたが、木造建築でも新しい工法が次々に試されています。特に従来のコンクリート住宅に対して耐火性、コスト面、建築期間、輸送など課題はあります。さらに木造建築を設定できる建築家や大工不足の問題もあります。

 今のところ、木造建築はCO2排出という意味では圧倒的な競争力がありますが、最近、フランスでは産業廃棄物を再利用したセメントが製品化段階に入っており、セメント製造過程に必要だった加熱などの工程がないため、CO2排出が最低限に抑えられているメリットがあり、注目されています。

 フランスは木造の工業化が進み、付加価値を高める方向に動いています。環境対策で知恵を絞れば、様々なアイディアが生まれ、ビジネスの可能性も拡がるという意味で、木造建築の今後の展開が注目されるところです。

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