Hiroshi_Mikitani

 ネット通販大手の楽天がアマゾンとの競争のネックになっている送料の無料化に挑む中、公正取引委員会が独禁法違反の疑いで社内立ち入り検査を行いました。そもそも両者のビジネスモデルは基本的な部分が異なっており、楽天は日本の商店街やデパートの発想で出店企業からの出店手数料ビジネスです。

 出店企業への場所貸し商売なので当然、楽天は出店企業を向いてビジネスをしており、消費者は出店企業と直接売買契約を結ぶようになっています。一方、アマゾンは出店企業の商品を買い上げ、倉庫で一括管理し、消費者に商品を届けるため、売買契約は消費者とアマゾンの間で成立しており、消費者を向いてビジネスといわれてきました。

 配送料に関していえば、そもそも楽天のビジネスモデルでは、出店企業がそれぞれ負担するため、楽天からとやかく言われる筋合いのものではないと企業から反発されています。送料の裁量権を持つアマゾンは配送会社と大型契約して最低価格帯に送料に抑えることできる反面、無料にする分、出店企業にも圧力が加えられているのも事実です。

 今、世界中に拡がるネット通販ビジネスですが、アマゾンの一人勝ちの様相を呈しています。どんなビジネスモデルであっても最終消費者の選択の幅を拡げることは重要なので通販サイトは情報提供の量に力を入れています。サイトの分かりやすさでもアマゾンは優位に立っています。同時に最大の注目点は価格なので配送料を含めた価格で、どこで買うかを決める傾向は強まるばかりです。

 楽天の送料問題に関していえば、とても日本的なものを感じます。それは出店企業と楽天市場を運営する楽天の関係性です。今回、公取委が問題にしている楽天が立場の優位性を利用して不公正なビジネスを出店企業に強要しているのではないかという疑いにも通じるもにです。

 アマゾンの場合は商品は出店企業からアマゾンに渡った時点で、配送料をどうするかはアマゾンの裁量です。たとえば弱小企業の商品でもアマゾンが巨大契約を結ぶ配送会社の価格帯を利用できますが、楽天では企業の自前なので小口だと配送料は高くなってしまい、競争力がなくなります。

 今回の騒動で思い出すには、20年前に苦戦する日本のデパート業界を取材した時のことです。フランスのデパートとの比較も目的でしたが、日本のデパートはテナントに対して非常に高圧的でした。場所を貸し商売させてやっているという態度で出店企業は服従しかない立場でした。

 楽天にも同じような臭いを感じます。楽天のようなプラットフォームビジネスはアメリカが発祥の地で、立場の平等性は一つの鍵です。つまり、出店する側と場所を提供する側は平等の立場でWin Winの関係です。どちらが上という関係ではありません。

 しかし、日本ではたとえば大型量販店のヤマダ電機の創業社長が「メーカーはうちの会社なしには成り立たない」と豪語し「売れる製品を作る主役はわれわれだ」とまでいっていました。各メーカーのエンジニアたちが努力して研究を重ね、ものづくりしている側より、それを得る販売会社が上だという大きな勘違いです。

 この上下関係は縦社会の日本文化から来ているもので、兄弟主義のキリスト教の背景を持つ平等主義とは根本的に異なっています。下請けという言葉も極めて日本的です。三木谷社長は「心の底から皆さんのためになると思ったから」といいながらも、送料無料化を実現しなければ物が売れなくなると迫っています。

 楽天のビジネスモデルでは今回推し進めようとしている購入価格3,980円以上の送料一括無料化で、楽天が負担する義務はありません。出店企業の数で勝負する楽天には小さな店も多く、彼らにとっては送料無料は大きな負担です。

 今は自分が欲しい商品を見つけたら、後はネット上でいかに安く買うかが焦点という場合が少なくありません。そのため、商品についての公平性、客観性を担保する情報誌が売れており、後は自分が決めた商品をどこで安全に安く買うかだけです。楽天のビジネスモデルは在庫を抱えず配送に関与しないことで消費者に向いてない分、弱みが露呈したともいえます。

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