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 18世紀、19世紀に起きたような大規模な産業革命の再来といわれるデジタル革命、グローバル化時代に差し掛かり、これからの世界を牽引するのは若いリーダーといわれて20年以上が経ちます。古い世代は老害とされ、ビジネス界だけでなく、政治リーダーまで若返りました。

 ビル・クリントンは1993年 44歳でアメリカ大統領に就任、トニー・ブレアとデーヴィッド・キャメロンはそれぞれ1997年、2009年に44歳で英国首相に、プーチン大統領は2000年、48歳でロシアの大統領になり、今も現役です。バラク・オバマは2009年48歳でアメリカ大統領に就任しました。東西冷戦終結以降、40代の大国を率いるリーダーが登場し、新しい時代の息吹を感じさせました。

 ビジネスの世界は、それより早い1980年代に20代でデジタル時代を牽引することになるマイクロソフトのビル・ゲイツや、アップルのスティーブ・ジョブスが20代で頭角を表し、ビル・ゲイツが世界長者番付1位になったのは1994年、39歳の時でした。雇われ社長ではレバノン逃亡中のカルロス・ゴーンが仏自動車メーカー、ルノーの副社長になったのは41歳、日産のCOOに就任したには44歳でした。

 グローバル化の加速とデジタル革命の中、トップリーダーは若くなければ役に立たないという風潮がありました。ところが2017年、アメリカの大統領に就任したドナルド・トランプは70歳。次期大統領選の民主党候補者は、ジョージ・バイデン(77)、バニ・サンダース(78)、エリザベス・ウォーン(70)と70代オンパレードです。

 実はアメリカでは政治家の世界を別にすれば、40歳以上の年齢は仕事に不利と考えられ、様々な差別を禁じた機会均等法の考慮すべき項目に挙げられているくらいです。日本でも36歳以上の再就職は難しいといわれています。

 オバマとトランプを比べると、デジタル時代のグローバル化を牽引するIT業界と金融業界を後押ししたのはオバマ前大統領でした。逆に70歳代のトランプ大統領は「アメリカ第1主義」を掲げ、グローバル化にブレーキを踏み、巨万の富を手にした世界的企業のGAFAやウォールストリートに圧力をかけています。

 オバマがシリア問題を放置したため、過激派組織、イスラム国(IS)が台頭し、北朝鮮も核武装に成功しました。ロシアは密かに最新鋭の武器を開発し、中国はアメリカに次ぐ大国にのし上がり世界覇権を画策し、イランはオバマ時代の核合意の影で核開発や中東での覇権を強化しています。結果、トランプ政権は、これらの深刻な問題の尻ぬぐいをさせられていますが苦戦中です。

 キャメロン英首相は、EU離脱を議会で決められず、最も危険な国民投票に掛けて、離脱のために3年半も混迷が続きました。39歳でフランスの大統領に就任したマクロンは黄色いベスト運動から史上最長の鉄道ストで国が制御不能です。

 歳をとっていればいいということではありませんが、時代の変化に高齢リーダーがついていけないので引退すべきともいえません。トランプはツイッターを使いこなしているし、テクノロジーは手段であって目的ではありません。企業もそうですが経験知がものをいうケースは少なくありません。

 企業トップの席を同じ人物が長期に居すわる弊害は、長い経験知からすれば問題です。ゴーンを20年も放置したのは経験知の浅い人材に取り囲まれていた側面もあります。老害は排除すべきだし、若いリーダーを育てていくことは急務ですが、今はどちかというと経験豊かな高齢トップが組織に貢献できる可能性が高い時代にあるように見えます。

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