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 日本は先進国の中でも少子高齢化、景気先行き不安、年金だけでは老後を暮らせない事態到来、社会保障負担増で若者は十分な蓄えができないなどの課題に直面しています。これらの課題は、ヨーロッパ先進国にも到来しており、フランスなどは古い年金制度改革に着手して、史上最長の鉄道ストライキが1カ月以上続いています。

 裏を返せば、アメリカや欧州がやがて抱える問題に日本は先がけて取り組んでいるともいえます。特に少子化は経済衰退に連動しているにも関わらず、日本は本腰を入れて対策に取り組んだことはなく、東京都の小池知事は就任時には待機児童解消を約束しながら、莫大な資金とエネルギーを豊洲市場の開場延期に費やし、待機児童問題は後回しです。

 かつて自民党の超保守系の古株議員から聞いた話ですが、彼は「女は専業主婦で子育てに専念すべきだ」「社会進出した女が日本社会を壊している」といい、女性が働きやすい環境を整備することなど無意味だといっていたのを思い出します。今から30年前の話ですが、当時同じような意見は持つ保守系議員は少なくありませんでした。

 実は、その指摘は問題の本質ではなく、マネーが社会の中心になったことで、お金さえあれば伝統的な縛りから開放されるということで、特に「家社会」に拘束されていた女性が自由を求め、都会に出て一人暮らしを始めたことが原因でした。

 1970年代、地方に住む高卒者は親元を離れ、続々と都会に出て就職や大学進学しました。親兄弟、地域社会との共存が必要だった状況をお金がコミュニティーの縛りから開放しために、自由を得られた反面、伝統を守る担い手はいなくなったというわけです。女性の社会進出はその1部でしかありません。

 実は個人主義が進んでいるヨーロッパ諸国に比べても、日本は国家における家族の位置づけが定まっていないとうことを日本人は知りません。ドイツでもフランスでも憲法で家族の国家における機能は明確になっており、家族政策は国の重要課題です。

 日本では親族のいない都会で子供を産めば、孫の世話という子育て支援をしてくれる祖父母はいません。そこに待機児童問題が重なれば、誰が人口減少を防ぐ最低ラインの3人の子供を産むのだろうかということです。

 その祖父母たちでさえ、稼いだ金は子に残さず使い切ろうと思ったり、自分の趣味に忙しく孫の世話になど関心のない高齢者も増えています。その意味でも少子化の未来は国家が本腰を入れて優先課題として政策として取り組まない限り、暗いものです。

 一方、企業はグローバル化の波の中で生産性の低下、優秀な人材不足に悩まされ、競争力も落ち、アメリカのようにビジネスチャンスを生む新たなテクノロジーが次々に生まれる状況ではありまん。若者は終身雇用の崩壊を目の当たりにし、恐怖や不安を感じ、保身に走っています。

 海外に赴任した若者の研修を担当してみると、海外赴任鬱も増えており、途中帰国や帰国を待ちわびている若者も少なくありません。日本のぬるま湯の中で生活していた彼らは、予想不能の事態が次々に訪れる異文化で苦戦しています。

 日産のゴーン前会長の不法国外逃亡は極端に例ですが、世界には性善説では到底対応できない人間がいることを日本人は今回痛感させられたはずです。利用できるものはなんでも使って、あくまで欲望を満たす執念は日本人の想像を絶しています。

 日本の衰退は少子高齢化だけでなく、グローバル対応が極端に遅れていることです。原因は日本人が性善説を信じ、不法地帯であるグローバルな世界で、ゴーン被告のようなメンタルとはま逆なナイーブさを持っているからです。その温度差を埋める努力は十分とはいえません。

 国内簡潔型の島国特有の閉鎖的な文化は、大英帝国を築いた同じ島国の英国にはありません。なぜなら彼らはキリスト教という普遍主義と、女王を頂点とする明確な国家アイデンティティを持っているからです。サッチャー政権以来、外資に門戸を完全に開放し、法整備してきたことや国際金融センターを構築したことも大きなことです。

 日本はこのままいくと島の中で静かに、しかも確実に衰退していく状況です。その状況を変えるには、一方で少子化対策を国家の最優先事項にすることです。さらににゴーンのような人間が行き交う世界の中で、明確なアイデンティティを持ち、強いメンタルを持って果敢に挑戦するマインドを育てることしかありません。

 組織に隷属し、上司の顔色ばかりを伺う人間ではなく、自発的に自分で道を切り開いていく人間を生み出す方向に教育も企業も舵を切る必要があります。従順な下僕はAIの登場でどんどん必要がなくなっており、人間は尊厳を持って生きるべきです。

 失敗しても何度でもやり直しがきく社会システムを作り、持ち前の日本人のモラルの高さで信頼を獲得し、グローバルに活躍できる人材を単にエリート層だけでなく、全ての人に適応すべきでしょう。

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