German machine tool factory

 ヨーロッパの優等生といわれたドイツ経済が減速を見せ初め、景気後退の影が迫っているとヨーロッパメディアが一斉に報じています。ヨーロッパ第1位の経済大国ドイツの4〜6月期の実質GDPは、前期比0.1%のマイナス成長、第2位の英国も0.2%のマイナスに落ち込みました。

 主要因は合意なき離脱の可能性が高まる英国の欧州連合(EU)離脱と米中貿易戦争の長期化で輸出が経済の牽引役であるドイツにダメージが及び始めていることです。ドイツは欧州はもとより、南北アメリカやアジア地域など広範囲と通商関係を持っており、貿易が大幅に鈍化していることが経済を直撃しています。

 ドイツの工場経営者たちは危機感を募らせており、実際、この1年間で受注が全体で8.6%減少し、輸出の牽引役である工作機械に至っては第2四半期に22%も減少しています。仮に第3四半期もGDPがマイナス成長となれば、EU最大の経済大国が本格的な景気後退局面に入ることになります。

 一方、フランスは0.2%と検討しているものの、イタリアは0%で、今後、政治が混乱をきたせば、マイナス成長に陥る可能性が指摘されています。ユーロ圏全体でも0.2%増にとどまり、景気にブレーキがかかった状態です。

 英独共に製造業の減速が著しい中、英国は国境を越えた生産体制を敷く自動車産業がEU離脱の迷走に直撃されています。近年高まる環境政策強化で、ディーゼル車の需要の落ち込みも影響しています。今後、トランプ米大統領がEUの自動車やワインに追加関税を導入すれば、欧州経済には一段の打撃と受けることが予想されます。

 しかし、ネガティブな要素ばかりとはいえません。何人かのエコノミストはアメリカ、ヨーロッパ、日本経済は、基本的には堅調で、トランプ米大統領が米中貿易戦争で事態打開に乗り出しているように見えることから、世界経済が極端な景気後退に陥ることはないとポジティブに見ています。

 大きな目で見れば、世界の先進国は行き過ぎたグローバル化経済が調整局面に入っており、各国がこれまで以上に国益を重視する方向に動いていることは確かです。これまで世界の工場として利用され、今では巨大市場に成長した中国への見方も大きく変化しており、世界経済は調整局面が続くと見るべきでしょう。

 たとえば、フランスは、この1、2年、世界に拡散した生産拠点がフランスに戻る現象が起きており、この30年間、10%前後で推移した失業率は8%台に下がっています。トランプ大統領も次期大統領選を念頭に、極端にアメリカ経済を減速させる経済政策をとるとは思えません。

 確かなことは経済活動にこれまで以上に政治が影響を与えていることです。そのため国際政治情勢を注視し、危機を煽るようなニュースや政治的意図をもった煽動的フェイクニュースに振り回されないことが重要です。

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