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 今や日本国内でも海外とのやりとりが普通になりつつ中、国内外で日本人が困惑する一つが仕事の進捗の管理です。米ヒューストンにある日系化学メーカーに短期赴任したA氏は、日本から指示を出して進めていたプロジェクトが思うように動かず、半年を目途にヒューストンに滞在しているそうです。

 A氏は、これまでも1週間とかの短期出張をしていたのですが、なかなか思うように進まないので、仕方なく赴任し、現場で支援を行うことになったといいます。それでも苦戦が続いており、原因が掴めていないといい、もっとも不思議に思っているのが日本的な報連相がされていないことです。

 業務が複雑化し、専門性が高まる今の時代、個人プレイでは業務をこなせず、これまで個人の業務や権限、責任が明確で個人主義的といわれた欧米の会社でもチームよる協業の重要性が強調されています。そのため欧米のビジネススクールでもチームワークの研究は盛んです。

 たとえば、非常に個人主義的で残業などしないといわれるフランスの会社で残業する人が増えています。理由は自分の抱えている仕事だけでなく、同僚の仕事を手伝うことが増えたからという声をよく聞きます。過去に2時間近く昼休みの時間をとっていたフランス人ですが、今は自分のデスクでパソコンを見ながらサンドイッチをかじり、仕事を続ける姿も増えているといいます。

 とはいえ、チームメンバー間や上司と部下の間で報連相がされているわけではなく、日本人はその状況に困惑するケースが多いといわれています。報連相がないのに、どうやって進捗管理されているのか疑問に思う日本人は多くいます。

 進捗管理への考え方の違いの原因の1つは結果主義とプロセス重視の違いです。ものづくりの職人文化が浸透している日本ではプロセス重視が定着している一方、欧米だけでなく中国や東南アジアでも結果主義が主流です。

 これはビジネスで成功を収めたアメリカのマネジメント手法の影響が大きいからで、たとえば、フランスは国営企業による長期雇用が普通だった30年前に比べ、今は結果が全ての成果主義に大きくシフトしています。

 結果重視のメリットは、結果にコミットメントしやすく、競争原理が働きやすく、個人やグループに裁量権があり、評価や責任の所在を明確にできる点です。一方、プロセス重視のメリットは、プロセスの調整、検討、チームワークがとりやすいことで製造業にルーツがあります。当然、進捗管理は重要です。

 プロセス重視のデメリットは、結果へのコミットメント、個々人のモティべーションが高めにくく、責任の所在が不明確になり安いこと、手段が目的化してしまう傾向があることです。一方、結果主義のデメリットは、プロセスの調整や熟考が手薄になり、結果を重視するあまり不正行為を犯すリスクがあり、同僚が競争相手になることでチームワークが取りにくいことです。

 これらの違いはその国や地域の国民性や文化とも大きく関係しています。1990年代に日本で導入された成果主義は、職場の同僚が競争相手になり、和の精神には合いませんでした。結果主義のシフトで日本の大小企業で近年、頻発する不正会計、データ改ざんなどを生んでいます。

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 グローバルマネジメントとは、ある文化の中で発展してきたマネジメント手法に縛られることなく、多様性の中から効率的、効果的な手法を見つけ出す作業です。いいものづくりにはプロセス重視は欠かせませんが、手段が目的化し、責任が不明瞭になる弱点もあります。それを補強するためには結果にコミットする結果主義のいい点も導入する必要があります。

 一方、結果重視で個人の裁量権の強い職場では、最終的なゴールで結果を出せればいいと考え、プロセスでの調整が軽視され、進捗管理に大きな意味はありません。そこで重要になるのがリーダーの役割です。リーダーはより良い結果を出す責任があるわけですが、そのリーダーから見せる仕事の風景とチームメンバーから見える風景は違います。

 つまり、メンバーはリーダーが必要とする情報の中身は分からないということです。オーケストラの指揮者は全体の音を聞けますが、それぞれの演奏者は指揮者の指示に従って自分のパートで最善を尽くすのに精一杯です。そのため、リーダー自らが全体目標達成のために必要な情報を部下から集め、進捗の管理や検討をする必要があるわけです。

 そこには、部下の上司への忖度など存在しません。自分がどんな情報が必要なのかを丁寧に説明し、理解してもらう努力が必要です。また、リーダーはメンバー一人一人に対する支援者であるという自覚や部下からのフィードバックを受けやすい環境作りも必要です。結果重視は個人のモティべーションを高める効果があり、プロセス重視はチームビルディングに役立ちます。

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