facebook-254165_960_720のコピー

 アメリカの中間選挙が迫る中、米フェイスブックは11日、フェイクニュースを流し、意図的に極端な言論誘導を行う政治コンテンツを拡散していると思われる数百のページやアカウントの閉鎖に踏み切ったことを明らかにしました。ただしアメリカ国内に限ったものだとしています。

 2016年のアメリカの大統領選へのロシアの介入疑惑が浮上して以来、特にSNSを通じての言論操作が問題になっています。トランプ米大統領は大統領選期間中に使った「フェイクニュース」という言葉は、主に巨大メディア向けだったわけですが、今や既存メディア同様の影響力を持つSNSにも大量に偽情報が流されている事実があります。

 フェイスブック側が閉鎖を発表したには、559のページと251のアカウントで「当社が禁じるスパムや組織的な虚偽行為の方針に継続的に違反していた」というのが閉鎖の判断基準だとしています。たとえば、閉鎖されたページの一つ、右派の「ライト・ウィング・ニュース」は300万人のフォロワーを抱え、左派系のページでは「レジスタンス・アンド・リバーブ・プレス」も削除されましした。

 米ウォールストリートジャーナルの記事では、フェイスブック側は「今回対象となったページやアカウントの多くが、同じ名前で偽アカウントや複数のアカウントを使い、ウェブサイトへのトラフィック増加を狙って大量の投稿を行っていた。また、コンテンツの人気が以前より高まったと見せ掛けるような手口が使われていたという」と報じています。

 ただ、フェイスブック側が指摘する、これらの手法は、アクセス数を増やし、最大限に拡散させる手法として、政治だけでなく、テロ組織からビジネスの世界まで世界中で当たり前のように使われている手法という側面もあります。

 既存メディアのように流す側が公正さを維持するための厳しく監視されている公器とは違うSNSの世界で、言論の自由と規制の関係は、未だ曖昧なままです。

 そもそも今の状況をもたらしたのは、明確な政治信条を持つ既存メディアが、政敵を攻撃するためにフェイクニュースを流し、言論誘導したことで有権者に不信感を与え、SNSという別空間が影響力を持つようになった背景があります。

 人は新聞を読まなくなり、ネット上に流される根拠が怪しいニュースを目をするようになり、さりとて一人一人の判断力が高まっているといえないのが今の状況です。

 たとえば、日本のNHKが国際報道の手本とする英国のBBC放送は今、アンチ・トランプキャンペーンの急先鋒になっています。そもそも英国のジャーナリズムは客観報道に徹しているといわれてきましたが、トランプ大統領への憎悪は驚くべきものがあり、報道のアプローチは最初に結論ありきという偏向がみられます。そのためNHKの報道も同様な傾向をみせています。

 結局、SNSの登場でジャーナリズムのマーケットも様変わりし、より多くの人々に支持されるためには共感を狙った言論に傾き、ポピュリズムを批判しながら、自らポピュリズムに陥る矛盾に陥っています。たとえば、米大統領期間中、トランプ氏に徹底抗戦の構えだったCNNは、選挙後も視聴率を伸ばしたという事実があります。

 SNSは言論の自由に支えられた「共感」がキーワードですが、フェイクニュースが信じられ、簡単に言論誘導される現象は、日頃政治に関心がなく、見識も持たない人が増える大衆化社会でのリスクでもあります。ブレグジットの国民投票で、EU離脱派が流した、残留すればどれだけ英国民は不利益を被るかという情報の中にいかに多くの嘘があり、それを多くの労働者が信じたという事実があります。

 本当は今ほどオピニオンリーダーが必要な時代はないと思いますが、そのオピニオンリーダーを活かす送り手である編集者が視聴率や購読者数に気を取られた状態では、言論の迷走は制御が効かない状況ともいえます。

ブログ内関連記事
フェイスブックと危ない中国企業とのデータ共有は稚拙な判断からなのか
フェイスブック個人情報流出8,700万人の大半は米国内、アジアではフィリピン
SNSによるマインドコントロールは阻止できるのか
IT系企業のお気軽「世界を変えたい」が世界を破滅させる