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 1位になったオーストリアのウィーン

 世界で最も住みやすい都市はどこなのかは気になるところですが、英エコノミスト誌の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が発表した「2018年世界で最も住みやすい都市ランキング」で、ちょっと意外なオーストリアの首都ウィーンが1位となりました。

 この調査では、前年まで7年連続でオーストラリアのメルボルンが首位を維持し、町の宣伝にも役立っていましたし、知っている人たちにとっては、そうだろうなと思う結果でしたが今年は2位。日本の都市では大阪が3位、東京が7位にランクインし、一つの国から2都市がランクインしたのは、オーストラリア、カナダ、日本だけ。

 調査対象は世界140都市で、政治的安定性、社会的安定性、インフラ、環境、犯罪、教育、健康医療制度の利用しやすさなどの項目を評価し、ランキングしており、当然、毎年テロが起き、観光客へのスリや置き引きが多発し、大気汚染も懸念されるパリは10位には入れず19位でした。

 トップのウィーンは、治安のスコアが良かったことが決め手になったとエコノミストは指摘しています。治安の改善では英マンチェスターが欧州の都市で最も順位を上げ、前年度から16位上昇して35位。逆に同じ英国のロンドンは48位とマンチェスターとの13位差は過去最大でした。

 エコノミストは、たとえ大きなテロ事件などがあっても、その後の当局の取り組みなどで復活していれば、評価の対象になると説明しています。

 大阪が半年前の6位から3位に上昇したのは、治安の改善と並び、交通機関の利便性の向上も理由のひとつ。東京も大阪も10位以内にランクインしましたが、客観的データに基づくランキングに納得できるかどうかは疑問もありますが、ただ、客観性は単なる感覚や視野の狭さに左右されない利点もあります。

 皮肉なことにビジネスで活気を呈する世界的都市で上位にランキングしているのは大阪と東京、シドニーくらいで、ニューヨークなどは57位。理由は治安、交通機関などのインフラ整備が十分でないことなどがランクを下げているとされます。日本でも過去には「暴力団のいない町は死んだ町」などといわれた時代もあり、治安の悪さは経済発展都市の勲章でした。

 日本は最も世界で安全で住みやすいと思い込んでいる日本人は非常に多いのですが、客観的データで見直してみるのも視点を変えられていいかもしれません。それに日本人は世界一「安全、安全」を重視する国民性があるといわれ、住みやすさに何を優先するかは国民によって違います。

 ちなみに10位までの国は、1位ウィーン(オーストリア)、2位メルボルン(オーストラリア)、3位大阪(日本)、4位カルガリー(カナダ)、5位シドニー(オーストラリア)、6位 バンクーバー(カナダ)、7位東京(日本)、8位トロント(カナダ)、9位コペンハーゲン(デンマーク)、10位アデレード(オーストラリア)でした。

 逆に最も住みにくい国ランキングでは、内戦でで荒廃したシリアのダマスカスが1位、2位バングラデシュのダッカ、3位ナイジェリアのラゴス、4位パキスタンのカラチでした。

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