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 本当か嘘かと疑りたくなるのが、成田空港や羽田空港に発着するプライベート・ジェットの数が世界的に見ても極端に少ないことです。このほど成田空港は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、小型プライベートジェットの利用増を見越し、専用駐機場の大幅増設の方針を発表しました。

 驚きなのは、ビジネスジェットと呼ばれる小型ジェットの今現在の利用回数が、1日平均わずか2便程度だということです。国土交通省は2016年、羽田空港でのビジネスジェットの受け入れ拡大策を発表し、発着枠を1日8回から16回とするほか、到着上限も1日最大4回から15回に拡大する方針を打ち出した経緯もあります。

 成田空港は今回、大型機対応のビジネス機用駐機スポットを整備する計画で、駐機可能期間を最大10日間から5日間に短縮することで、駐機スポットの稼働率向上に取り組むものとしています。2020年の東京五輪大会でのビジネスジェットの利用の大幅増を見越した体制づくりだとしていますが、五輪の期間限定ともしています。

 これの何が驚きかというと、小型ジェットの利用件数の少なさです。私は国際ビジネスの場で何度もビジネスジェットで移動する相手と仕事をしてきました。無論、それはビジネスにとどまらず、個人が所有するジェットも含まれ、世界をプライベートジェットで豪遊する彼らは通常、「ジェットセット」と呼ばれています。

 ビジネスにおいては、通常の公用便と異なり、目的地に直行でき、発着の時間も自分で決められ、荷物制限もなく、多くの利用客に接しないラウンジが利用できることです。会社所有もあれば、チャーターの場合もありますが、世界的には利用率は増加傾向にあります。

 たとえば、ロンドン周辺には小型ビジネスジェットが発着できる空港が7つもあります。世界のビジネスジェット利用可能な空港情報サイトもあり、どれだけ頻繁に利用されているかが分かります。いかに短時間に効率よく移動し、ビジネスで結果を出すかという世界では当然とも言えることですが、日本はまだまだのようです。

 30年前、初めてフランスを訪れた時、地方の小さな空港の多さに驚かされました。これはアメリカはもとより、南米でも同じ状況で、セスナ機専用の空港に至っては、その数は非常に多いのが現状です。アメリカでホンダの小型ジェットの受注が好調なのも、需要の多い市場だからです。

 今では中国人やインド人、ロシア人の個人所有のプライベートジェット市場も拡大しており、日本は経済大国にも関わらず、逆に特殊な状況にあると言えそうです。

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