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 中国最大の都市、上海市には現在、5万人強の日本人が住んでいる。この数字は現地の日本領事館に在留届けが出されている人数なので、少なくともその倍は何らかの形で上海で暮らしている可能性がある。多くはビジネス目的ですが、さまざまな隠された問題も発生しています。

 古い話ですが、公になる事件が少ないので紹介すると、2004年、在上海日本国総領事館に勤務していた当時46歳で既婚の事務官が自殺する事件が発生しました。当時の領事宛の遺書で、当人は中国情報当局に脅迫され、連絡役をしていたことへの罪悪感から自殺したとされています。

 遺書に書かれた経緯は、当時、機密性の高い公電文書を扱う仕事をしていた事務次官が、交際していた同領事館で働く中国人女性と上海市長寧区の虹橋地区にあるカラオケ店にいる現場で当局に売春容疑で身柄を拘束され、脅迫を受け、以降、中国情報当局との連絡役をしていたとされています。

 同様なハニートラップは、外務省の関係者から聞いた話だけでも、日本の政治家、官僚、大使館員、企業駐在員に引き続き起きているといいます。多くは内容が性質上隠蔽され、闇から闇に葬られているとも言われています。最近では中国に批判的な日本人識者が狙われた例もあるそうです。

 さらに世界的な現象でもある日本駐在員の単身赴任化で、孤独感に悩まされる彼らが間違いを冒すことも多い。現地で部長を務める某企業の現地駐在員は、会社のエレベーターの中で、中国人の美人秘書が「ネクタイが曲がっている」と言って、いきなり首もとに手を回され、心が揺らぎ、その後、愛人化し子供までもうけた例もあります。

 他の某企業駐在員は、なんと妻子と上海に駐在しながら、スポーツジムで仲よくなった中国人女性と関係を持ち、出張名目で定期的に家を留守にして密会を繰り返していたのが妻に気づかれ、離婚した例もあります。

 また、職場での人間関係構築を深める中、身体的に異常接近してくる中国人女性部下に勘違いし、性的要求をしたことでセクハラで訴えられた駐在員幹部もいます。中国には「ウサギは巣のそばの草は食べない」という中国の諺があるそうで、身近な女性に手を出すと命取りになるといわれています。

 実は、欧米で広がるセクハラ被害の告発運動「#Metoo」は中国でも拡がり、今年1月、セクハラで告発された北京航空航天大学の教授が教員資格を剥奪されています。容疑は博士課程の指導中、当時学生だった女性が性的要求をされたというものです。上海市の女性会社職員がセクハラ被害で訴えた裁判が香港の地元メディアで最近、紹介されています。

 実は中国では、中国人同士のハニートラップもあるそうで、特に権限を持つ経理部長や高い技術を持つエンジニア、企業動向に詳しい経営幹部が狙われるそうです。セクハラは過去に遡って告発される例が増えており、帰国後の元中国駐在員も身に覚えがあれば、気が気ではありません。

 過去にセックスアニマルとまで言われた日本人ビジネスマンは日本の評価を下げました。本人にとって致命傷となりかねないハニートラップ、セクハラ、浮気は、人類歴史始まって以来の人間のアキレス腱とも言えますが、企業側もしっかりとした教育が必要です。

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