Iger & Murdoc
 ウォルト・ディズニー・カンパニーのアイガーCEO 21世紀フォックスのマードック会長兼CEO

 アメリカの娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーは今週14日、同業でもある21世紀フォックスから一部資産を524億ドル(約5兆9000億円)で取得したことを明らかにしました。

 アメリカのメディアは一斉にディズニーの今後を占う記事を掲載していますが、英BBCはフォックスのマードック会長の決断にも注目しています。

 新聞事業を手がけた父親を持つオーストラリア人のフォックスのルパート・マードック会長(86)は、半世紀以上メディア事業拡大させ、マードック帝国と言われてきました。父親から譲り受けた新聞社1社から、世界的な巨大ニュース・映画会社を構築しました。

 今回のフォックス資産のディズニーへの一部売却について、マードック氏はネット広告や動画をネットで有料配信する新しい勢力との競争激化を睨み、事業分割は正しい判断と説明しています。しかし、BBCはマードック帝国は大きな転機を迎えたと指摘しています。

 なぜなら、メディア王となったマードック氏は、今後、何代にも渡り、マードックの名を冠した帝国は継続する豪語していたからです。つまり、ネット時代のメディア環境の急激な変化に紙媒体で出発したマードック氏は、その配信方法などで想定外の状況に置かれてしまったのかもしれません。

 ディズニーは、映画・テレビ番組の制作能力が充実する20世紀フォックスや、21世紀フォックスが海外で展開するケーブルテレビ(CATV)事業、さらには動画配信「Hulu」(フール―)の経営権も取得しました。

 ディズニーの買収理由をBBCは「ディズニーはすでに、ニュースや映画、娯楽企業を数多く傘下に持っている。しかしメディア業界は、アマゾンやネットフリックスなどのIT企業が新たな視聴方法で消費者を引きつけるなか、大きく変わりつつある」と説明しています。

 さらに「ディズニーは、有料テレビ事業の落ち込みや新興勢力の攻勢に対抗するため、ネット動画配信への投資を拡大している」と指摘しています。これはアメリカのメディアも同じ見方です。

 また、マードック一族が所有する英紙サンのヤランド元編集長のBBCへのコメントとして、「買収により、ディズニーはカリフォルニア州の大手IT企業に対し、優位に立つことができる」と述べ、「10年後には、大手中国企業2社と大手米企業4社がいて、(既存の娯楽企業のうち)生き残るのはディズニーだけだろう」と予想しています。

 一方、米ウォールストリートジャーナル紙は、ディズニーはアメリカだけでなく欧州やアジアにもテーマパークを拡大させ、世界的に知名度の高いブランド力を持つが、 それでもなお典型的な米国企業と指摘し、今回の買収で本当の意味で「世界の市民」になれそうだと書いています。

 特にディズニーの今回の買収で、当初から関心を寄せいた英有料TVスカイをはじめ、スター・インディアやフォックス・インターナショナル・チャネルズを傘下に収めることで人口6億5000万人のインドの視聴者を掴むことにもなるとしています。

 「フォックス・インターナショナルは欧州、中南米、アジア、アフリカに進出しており、スター・インディアとあわせると、ディズニーの海外事業を大きく拡大する起爆剤となるだろう」と同紙は指摘しています。

 今回のディズニーのフォックス資産の買収は、ネット環境の世界的整備やスマホ、タブレットなどのディバイスの普及で、テレビと紙媒体しかなかった時代からの激変を象徴した新たなメディア再編の動きとも言えます。コンテンツも質の高さが問われる時代に入っており、メディア間の戦争は新たなステージに入ったと言えそうです。

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