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   パリのギャルリーラファイエットのクリスマスのショーウインドー

 フランスは、2年前の2015年11月にパリのバタクラン劇場を初めとする同時テロを受け、非常事態宣言を出し、特別警戒体制を敷いてきました。その後もニースで革命記念日の夜にトラックで群衆に突入するテロが発生するなどして6回延長されたましたが11月1日に終了しました。

 今月は非常事態宣言の終了とともに、10月に議会で可決成立された新たな治安対策法が施行されて初めてのクリスマスと大晦日を迎えます。昨年12月にはドイツのベルリンでトラックがクリスマスマーケットに突っ込むテロが起きました。

 そのため今年はフランスでもクリスマスマーケットは全国的に中止のはずでしたが、新政府の方針で開催することになりました。その代わり、年末年始のテロを警戒し、今、フランスでは特別警戒態勢が敷かれています。

 パリでは400名の警官が、パリ周辺には500名の兵士が増員配置され、1月14日までパトロール強化期間が続けられます。特にビジネス街には3,500名が集中的に配置されていることを内務省は明らかにしています。

 無論、この特別措置は全国各所で実施されており、今年で447回目を迎える仏北東部ナンシーのクリスマスマーケットや、大規模なクリスマスマーケットで有名なストラスブール、リヨンやマルセイユ、リールなどの大都市でも特別警戒体制が敷かれています。
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 自動車やトラックでの突入テロを阻止するため、マーケットがある広場周辺にはコンクリートブロックや自動で地面から上下する鉄のポールなどが設置されており、警官や兵士がパトロールを行い、爆発物を見つけるため警察犬も動員されています。

 大晦日の夜、パリのシャンゼリゼ通り周辺には、新年のカウントダウンのため毎年50万人を超える人々が世界中から集まるため、テロリストにとっては格好の標的です。そのため、パトロールだけでなく、ネット上に怪しい書き込みがないかなどを高度な技術を駆使して監視するとしています。

 シャンゼリゼ大通りでは、今年4月と6月にパトロールにあたる警官が襲撃を受けるテロが発生しています。いずれも容疑者がイスラム聖戦思想に感化されていたことが判明しており、テロ対策当局の国内治安総局(DGSI)は、テロ計画の進行を事前にキャッチし、阻止することに全力を挙げています。

 とはいえ、完璧なことはなく、ヨーロッパ全土の特に主要都市で開催されるクリスマスマーケットや大晦日のイベントなどへの参加、デパートや観光スポットでは警戒が必要です。

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