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 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は9日、英国経済は、ブレグジット交渉で2019年以降、これまで同様の通商関係が続いたとしても、09年以降で最も低い伸びとなるとの見通しを示しました。今年の英経済成長率は1.5%、18年は1.3%、19年は1.1%になるとの予測です。

 一方、今年のユーロ圏19カ国の実質域内総生産(GDP)が前年比2.2%拡大するとの見方を示し、5月時点の予測から0.5ポイント上方修正し、来年も高水準を維持すると予想しています。

 欧州委は理由として、アメリカの株価高騰に見られる世界の経済回復基調を背景に、個人消費の底堅さ、失業率の低下傾向などが予想以上に好調なことを挙げています。また、今後欧州中央銀行が多少の金利引き上げを実施したとしても低金利が続き、景況感の改善に押される形で投資が加速していると分析しています。

 ただ、ブレグジット交渉やユーロ高が悪影響を及ぼすリスクも指摘しており、EUとしてはブレグジットがもたらす不透明感解消に努めることで、乗り切れるだろうともしています。今回の秋期経済予想で来年の成長率見通しは、2.1%と前回の1.8%から引き上げており、ブレグジット交渉が終了する2019年は1.9%にやや減速するとの見方を示しています。

 欧州委のピエール・モスコビシ次期経済・財務・税制・関税担当委員は「5年間にわたる緩やかな回復を経て、欧州経済は今や加速している」とのコメントを出しています。加えて、その持続は加盟各国の努力にかかっていることも強調しました。

 ただ、経済の世界同時回復基調は、冷戦以降に抱えることとなった自由経済と政治の関係がもたらす矛盾を解決しているわけではなく、その問題を最も抱えるEU、とりわけユーロ圏は、今後も押し寄せるであろうさまざまな試練への備えが必要です。

 たとえば不動産バブルに沸いたスペインは、ギリシャの財政危機以降、イタリアやポルトガルと並び、第2、第3のギリシャになる恐れが指摘されながら、緊縮政策などで22%もあった失業率を抑制し、ようやく回復基調に入っている時に、カタルーニュ独立問題が発生し、再び不透明感が漂っています。

 人や物の移動が自由化され、経済政策はEU全体で決定する一方で、政治は加盟各国に裁量権が与えられている状況では、問題が発生した際の解決に困難が伴うのは当然です。カタルーニュ独立問題にEUが距離を置くのは、その結果ですが、カタルーニュ自治州のプチダモン前首相は、ブリュッセルに駆け込めばなんとかなると勘違いしたのでしょう。

 今や政治のやれることは非常に限定的で、本来政治が行うべき領域にまで自由経済システムが入り込み、本来流動的な景気に国家は大きく振り回されている状況です。EUはその問題を通貨まで共有して行っており、その本質的解決は見えていないのが実情です。そのため、常にリスクがつきまとうことを考慮すべきでしょう。