安部雅延のグローバルワークス Masanobu Abe Global Works

国際ジャーナリスト、グローバル人材育成のプロが現在の世界を読み解き、グローバルに働く人、これから働く人に必要な知識とスキルを提供。

フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当する安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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 リーダーに突きつけられた危機的状況を乗り越えるには、どんなメッセージが必要なのか。世界各国の政治リーダーたちから発せられるメッセージには考えさせられるものがあります。皆で危機を乗り越えなければならない状況では、人の心を掴むリーダーのメッセージは事態を大きく左右します。

 危機的状況は人々に不安を与え、希望をなくし、ネガティブ思考に陥り、パニックをもたらします。そうなると人間は自己防衛のために自己中心的になり、統制がとれなくなり、事態をさらに悪化させてしまいます。アメリカ・ハリウッドが得意とするパニック映画はそれを如実に表しています。

 パニックの錯乱状態に落ちれば、何を先に考えるべきかという思考は失われ、様々な異なった意見が行き交い、決められない状態に陥ります。意見の対立がさらに事態を混乱させ、自滅の方向に向かう危険性が増してしまいます。ところがリーダーの適切なメッセージがあれば、人々の不安を取り除かれ、冷静さとポジティブ思考を取り戻すことができます。

 英国のウィンストン・チャーチルは「短い単語ほどたいていは古い。それらの意味は国民性により深く根差しており、より多くの(人の)心に訴える」という興味深い言葉を残しています。

 たとえば、今回の新型コロナウイルスの危機的状況で国民性の違いは善くも悪くも非常に大きな影響を与えています。日本である識者が「この際、働き方を根本的改め、働きアリを止めた方がいい」といいました。確かに日本人は働き過ぎと言われているので「そうだな」と共感する人も少なくないかもしれません。

 ところが勤勉で知られる日本国民のDNAの中には働くことの美徳が刷り込まれています。だから「早く皆で感染拡大を抑え、安心して働ける状態に戻しましょう」という方が、日本人の心を掴みやすいでしょう。不確かな状況に極端な不安を感じる日本人の国民性からすれば「安心」「安全」という短い単語のインパクトは大きいわけです。

 チャーチルは「簡潔さ」と題した覚書も残しており、「不明瞭な語句」を1つの「話し言葉」に置き換えるよう官僚に促し「簡潔さは明快さに等しく、率直さは物事をより理解しやすくする」と指摘しています。世界中、官僚答弁は分かりづらく、それを棒読みする政治家のメッセージ性は非常に貧しいものです。

 横浜港沖に停泊中の大型クルーザー、ダイアモンド・プリンセス号でコロナウイルスが蔓延した2月、不慣れなこともあり、担当の加藤厚生大臣のメッセージは要領を得ず、人々を不安に陥れました。官僚出身の加藤氏は、足下の官僚の意見を考慮し、言葉を選んではいても話すたびに不安は拡がりました。

 官僚的には法的にどんな複雑な事情があっても、その舞台裏よりも政府の意思を示すべきだったのが、それが見えませんでした。安倍政権もコロナ禍への対応で当初、後手後手に回り、国民の批判を浴びたのは政府の明確なメッセージを発出できなかったからです。

 「たとえば、どんなことがあっても人命を最優先で守ります」といえばいいところを、頭の中に東京オリンピック開催や経済活動への悪影響など複雑な事情が脳裏にあり、国民を安心させるメッセージを逆に発することができませんでした。

 もう一つ重要なのがメッセージの物語性です。人は理論より物語によって物事を理解するようにできています。最もをそれを熟知していたのが、イエス・キリストだと言われています。非常に多くのたとえ話が語られ、それは2000年を超えて人は心を掴んでいます。

 たとえば、「あなたがたのうちに、百匹の羊を持っている者がいたとする。その1匹がいなくなったら、99匹を野原に残しておいて、いなくなった1匹を見つけるまでは捜し歩かないであろうか」というたとえ話があります。これはイエスが取税人や罪人と食事をしている時に、当時のユダヤ教指導者から批判された時の話です。

 イエスは、その見失った1匹を探し出した時に得られる喜びは非常に大きいことに譬え「罪人がひとりでも悔い改めるなら、悔改めを必要としない99人の正しい人のためにもまさる大きな喜びが、天にあるであろう」と説明しました。これは当時の人間に教養がなかったからたとえ話をしたのではなく、人はコンテクスト(文脈)で物事を深く理解するからです。

 理論では人の心は掴めないという話です。一国のリーダーや組織の長は、いかに国民や部下を思いやっているかを伝えなければ、心を一つとして危機を乗り越えることはできません。ましてその思いを伝える前にリーダーへの忠誠心を強調するのは人間を信頼しない間違ったリーダーシップです。

 共感が重要さを増す時代、多くの人に安心と希望を与えるメッセージを発することは重要さを増すばかりです。せっかくいい危機対応をしていても、メッセージが乏しければ評価には繋がりません。

 

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 コロナショック後の国際情勢にとって、香港、台湾問題は世界の今後を占う鍵を握ると思われます。それは大統領選を控えたアメリカのトランプ大統領が得点稼ぎで中国を叩いていることや、経済成長が鈍化する中国で習近平政権が不安を抱える国民の目を国外にそらすというレベルの話とも思えません。

 英国統治時代の香港で最後の総督を務めたクリス・パッテン氏は英タイムズ紙のインタビューで「中国は(香港や国際社会を)欺いている。物事を自分たちの都合のいいように無理やり合わせようとし、それを指摘されると、『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(中国戦争アクション映画)に出てくる外交官たちのように恫喝して相手を黙らせる」と最近コメントしました。

 『戦狼』は2017年に公開され中国制作映画としては歴代興行成績1位を記録した映画です。その中に出てくる中国外交官の高圧的、威嚇的態度こそ、中国そのものと指摘しています。われわれはアメリカから新型コロナウイルス問題で叩かれ、猛反発して威嚇を繰り返す中国報道官の態度を毎日のような映像で見ています。それもその一部でしょう。

 しかし、実は驚くような話ではありません。ビジネスの世界では中国とのビジネスをする上で日々遭遇することで、たとえば、ビジネス交渉は立場のいかんに関わらず、同等以上、つまり上からの立場で交渉してくるのは当り前だし、面子を潰されたと思うと恐ろしいほど威嚇的態度に豹変するの常です。

 アメリカに「武漢ウイルス」と揶揄され、国際的面子に傷がついたので猛反発して威嚇しているのは当然の流れです。

 ビジネスの契約締結後に契約内容を変更するのも平気な一方、自分にとって都合が悪くなると、今度は契約書の1項目を掲げて攻撃してくることは、よくあることです。利益が得られないと分かると、それまで築いた人間関係など何もなかったように撤退します。

 だから中国ビジネスに関わった経験のある人なら、中の外交官の態度は新しい話ではありません。ただ、国際常識としては、ビジネスと政治は違いますが、中国はその境目がないのです。利用できるものはなんでも利用し、自分の都合で法は利用するもので都合が悪くなれば無視するのが常です。

 ヨーロッパでは「中国人は息をするように嘘をつく」といいますが、中国国内では嘘は方便であって悪いこととも捉えられていません。問題は先進国で常識化している遵法意識や社会規範は通じないだけでなく、中国には中国独特の価値観があり、中国は他のいかなる価値観にも与しないということです。

 たとえば、中国が政治と経済を一帯運用していることを欧米諸国は長年気づいていませんでした。たとえばロシアは自国の東西に隣接する日本と欧州に対しては経済関係を優先し、アメリカとは政治対立するという使い分けをしてきたわけですが、中国は違います。

 私は1990年代、日本と欧州の新たな関係について欧州の識者10人以上のインタビューした時、彼らのほとんどが「欧州と日本は経済関係はあっても政治的関係がないのが足かせだ」といっていました。つまり、日欧は政治的課題を共有する関係を築くべきだと意見が大勢を占めていました。

 政治と経済を完全に分けて考える欧州では、ドイツを先頭に英国、フランスが、この20年、中国との経済関係強化に動いてきました。とくにドイツは中国との経済関係を強化することに早い段階から躊躇しませんでした。あれだけ元共産国のロシアを警戒してきたドイツの割り切り様には驚かされました。

 その意味で中国を大国に押し上げ、威嚇的態度で覇権を強める中国を作ってしまったドイツの罪は重いといえます。英国は反共国家としてロシアを常に敵対視ながらも、中国からの投資を大歓迎しました。中国主導のアジア・インフラ銀行(AIIB)にも1番乗りで参加しました。

 遅れをとったフランスは、サルコジ時代から大統領が財界を率いて訪中ビジネス外交を展開し、大口契約を結ぶことに今でも余念がありません。実は中国にとっては欧州との経済関係強化は政治的意味の方が大きく、国際社会を動かす欧州先進国を取り込む狙いの方が大きいといえます。

 アメリカも欧州も中国が経済成長すれば世界のルールを学び、いつかは社会主義を捨て、民主主義、資本主義国家になるという甘い読みがありました。ところが中国を国際社会に引きずり込むどころか、中国が世界を引きずり込もうとしている状況です。

 中国全人代は香港との1国2制度を終わらせるべく、香港の治安維持を口実に中国中央政府の権限強化を法制化しようとしています。これにより1997年の香港返還の際にイギリスと中国の間で交わされた「一国二制度」の下で香港は少なくとも2047年までは自治を維持できるという合意は破棄されることになります。

 中国の一国二制度という考えは中華思想からきているもので、中国に周辺国を従わせるための第一段階でしかありません。その特殊な考えを読めなかった欧州やアメリカ、日本の罪は重いといえます。無論、欲しいものを手に入れるためには正体を隠すのが得意な中国ですから、気づかなかったのも無理はないかもしれません。

 いずれにしても世界第2位の経済大国という地位を与えてしまったことで、ブレーキのかからない支配欲にかられる獰猛な猛獣と化した中国と、今後世界がどう付き合っていくかが世界の行方を大きく左右するのは確かなことです。




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 中国や韓国は新型コロナウイルスへの対応で「わが国は世界の手本となった」と豪語しています。両国の国民性の一つが虚勢を張ることにあることを考えると頷ける態度ですが、実態とはかけ離れています。

 今回の疫病被害で表に出ている数字を読み解くのは簡単ではありません。今後、感染症の専門家たちが研究を重ねていくことでしょうが、たとえば、感染死者数ゼロのベトナムの場合、年齢の人口構成も無視できません。少子高齢化が進む先進国と異なり、ベトナム戦争である世代が大量に死亡したこともあり、若い世代が圧倒的に多いピラミッド型です。

 高齢者の死者が多い今回の新型ウイルスを考えれば、そもそも高齢者が少ない国は死亡する確立は低いでしょう。ところが同じ年齢別人口構成がピラミッドのトルコは中東地域では死者数が多い方です。ただ、数字の上ではトルコはかなり感染を押さえ込んでいます。

 リスクマネジメントいう意味では、リーダーに権限を集中させるほど有利という観点からすれば、独裁体制の中国は有利という見方もできます。意思決定が早く、強権で国民の行動を押さえ込めるのも有利です。民主主義の国でも有事を想定した法整備のある国は、かなり強い権限が政府に付与され、国民に対して行動制限を守らない場合、罰則を掛けたりしています。

 しかし、有事が想定されおらず、危機対応の法整備がまったくといって存在しない日本で、すべての規制は要請レベルで罰則もないのに感染死者数が抑えられているのには、別の理由を探す必要があります。その一つが水際対策が容易な島国という条件です。少なくとも空路と水路を遮断すれば感染した人間が外から入ってくることはありません。

 ヨーロッパの場合は、たとえばフランスは地続きでスペイン、ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、イタリア、モナコと国境を接しています。人の流れを止めるのは容易ではありません。国境を跨いで仕事に出かける人も相当な数います。韓国は北朝鮮で大陸から分断されているので島国のようなものです。

 日本人の衛生観念の高さ、国民が国の単なる「要請」に従順に従い、真面目に守る性格も感染死者数が少ない要因の一つでしょう。

 感染対策で優等生といわれたシンガポールでクラスターが発生したのは劣悪な環境で暮らす外国人労働者の間でした。欧米諸国では人種的マイノリティーがロックダウン後でも感染リスクに晒されながら医療活動、ごみ収集活動、トラックの運転に従事し、感染が拡がっています。

 貧富の差が大きく、スラム化した地域で被害が拡大する現象も見られます。ブラジルのスラムでも死者が急増しています。日本でも、アジアからの技能実習生が路頭に迷っている現状はありますが、彼らがクラスターの大きな原因になっているという報告はありません。

 つまり、社会構造も感染に与える影響として考慮すべきでしょう。とにかく弱者から死んでいくわけですから、高齢者を含め社会的弱者を多く抱える国では当然、死者は増えることになります。英国の高齢者施設のクラスターも同じ問題です。

 フランス人は、人と会うと頬にキスをする習慣があります。インド人は世界1人との距離が短い人たちです。このような習慣も、ソーシャル・ディスタンシングの観点からいえば、リスクを高めます。世界中には身体接触が不可欠な様々な習慣が存在します。これを変えるのは容易なことではありません。

 当然、医療面での体制も大きな影響を与えます。イタリアのように緊縮財政で医療支出を近年、圧縮してきたことから、医療崩壊を起してしまいました。医療体制の脆弱なアフリカは今後、深刻な事態が予想されます。

 経済面でもたとえば失業問題があります。アメリカで失業率が6月に戦後最高になると予想されています。しかし、先進国では雇用制度は様々です。たとえば長年、雇用制度を社会保障制度と深く関連づけてきたフランスでは、解雇に伴う費用が高額で簡単に会社は解雇できないため雇用に慎重です。

 ところが社会保障制度との関係が薄い英国では、解雇は簡単です。アメリカも事情は似ています。そのため、一時的に失業率が上昇しても回復するのも早いのに対して、フランスでは雇用に掛かる社会保障負担税も高額なため、雇用制度の柔軟性がなく回復には非常に時間が掛かります。

 米ウォールストリートジャーナルは、多くのエコノミストが6月の失業率が17%に達すると予想していることを伝えていますが、これは当然、戦後最悪の数字です。しかし、一方で今年秋以降には景気が持ち直し、失業率は下がっていくだろうとも予想しています。雇用環境が非常に柔軟なアメリカでは回復も早いといえますが、大陸欧州ではそうはいきません。

 ロックダウンに伴う支援のスピードも話題になっています。これはアメリカの社会保障番号のようなすべての国民を番号で管理している国は支給も早いわけですが、マイナンバー制度が定着しない日本では支給は大変です。社会保障が手厚いヨーロッパでは当然、すべての国民を対象とした様々な給付を前提としたシステムが出来上がっているので支援は容易です。

 つまり、社会政策の違いも経済対応に大きな違いをもたらします。さらには時の政権と国民の間の信頼関係もリスクマネジメントには影響を与えます。国民が簡単には政府のいうことを聞かない国ではリスクマネジメントは容易ではありません。

 このように非常に多くの要素が複合的に絡み合っているため、その国の感染対策で成績をつけるのは容易ではありません。グローバルな視野が必要です。それなのに「世界の手本となった」という愚かな自慢をするのは、無知でまったく説得力のない話です。

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      La belle jardiniere

 今年はイタリア・ルネッサンスの3大巨匠の一人ラファエロの没後500年にあたり、ローマのスクデリエ・デル・クイリナーレで今年3月5日から6月2日の予定で史上最大規模の「ラファエロ展」が始まりました。ところが新型コロナウイルスのイタリアでの感染急拡大のロックダウンで美術館はすぐに閉館となり、外国人旅行者はイタリアに入れなくなってしまいました。

 イタリア政府は現在、2カ月にわたった封鎖措置の段階的緩和を急ピッチで進めており、6月3日からは外国人も入国後、2週間の隔離が必要なくなり、EU圏内の自由な移動も可能になる見通しです。それに伴い、余程大規模な感染第2波がイタリアを襲わない限り、EU圏外からの旅行制限は6月15日には解除予定です。

 これに伴い、ラファエロ展は6月2日から8月31日まで開催が順延となり、イタリア在住者以外の人もラファエロ展を鑑賞できる日が来るということです。イタリアではすでに今月18日以降、順次、美術館も開館しており、入管制限はあるもののマスク姿の来館者が少しずつ増えていることが報じられています。

 パリのルーヴル美術館では昨年秋から今年2月24日まで、昨年は3大巨匠の一人、ダヴィンチ没後500年を記念した「ダヴィンチ展」が開催されました。4カ月間の来館者数はなんと同美術館の最多の110万人を記録し、ダヴィンチ恐るべしという印象ですが、フランスがロックダウンする3週間前に展覧会を終えました。

 それでも2月に入り、外国人旅行者が激減したことを考えると、コロナ禍がなければ、もっと多くの来館者が記録されたことでしょう。そのため、イタリアではラファエロ展にも観光経済効果としても大きな期待が寄せられていました。今年、ダヴィンチ展に次ぐ欧州最大の注目展だっただけに再開を待ち望む声は大きかった。

 ソーシャルディスタンスや入館人数制限が完全に解除されるないため、7月、8月のヴァカンス時期に外国人旅行者が例年規模戻るとは思えません。37歳で他界したラファエロはダヴィンチと違い、絵画以外の多岐に渡った業績があるわけではなく、ダヴィンチのように21世紀のデジタル、AI時代にも通じる様なインパクトはないかもしれません。

 世界各地の著名美術館から借りての200点に上る作品が展示される過去最大規模の展覧会だったので、時期が大幅にズレたことでの調整は相当大変だったことが予想されますが、美術関係者なら事情は理解できるでしょう。67歳まで生きたダヴィンチが非常に少ない作品しか残していないのに対して、短命だったラファエロは多産の画家でした。

 そのため、世界中から作品を集めるのに苦労が想像されますが、本家ローマの頼みにほとんどの美術館は順延に快諾したそうです。今時点の発表では、通常の来館者の25%に入館制限し、事前予約で6人毎にグループが作られ、係員にエスコートされ、80分間鑑賞可能とのことです。

 現在、ラファエロ展については、オンラインで展覧会を公開しており、その他スクデリエ・デル・クイリナーレのYouTubeチャンネルでもラファエロに関する動画が公開されています。

 ラファエロとして知られるラファエロ・サンツィオは当時、ルネッサンスの牽引役だったウンブリア州ウルビーノで生まれ、ピエロ・デッラ・フランチェスカなどに師事し、イタリア全土で大成功を収め、1500年代初頭にローマに到着し、同じ3大巨匠の一人、ミケランジェロを支援していた教皇ユリウス2世の目に止まった天才画家です。

 女性を描いて右に出るものはいないといわれ、とりわけ聖母像に出てくるマリアは、他のルネッサンスの画家の中では群を抜いているといわれています。子供の柔らかな肌の描写にずま抜けています。

 ラファエロ展が再開されるスクデリエ・デル・クイリナーレは、イタリア大統領官邸のあるクイリナーレ宮殿の向かいにあり、もとは宮殿の厩舎として18世紀に建てられた建物を大規模改修し、1999年に美術館として公開されました。ロックダウンを断行した大統領官邸の向かいで、今度は経済再建のためのラファエロ展が再開されるということです。

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 中国は幾多の試練を乗り越え、この3年間はアメリカのトランプ政権の対中強硬姿勢の逆風に晒される中、大国としての地位を固めるため、着々と対処してきました。リーマンショックの時は世界は中国経済に助けられ、ギリシャの財政危機ではギリシャの重要観光名所の買収で中国マネーがなだれ込みました。

 しかし、数字だけ見ると、惨めな「世界の工場」を脱して、経済格差の低い世界を魅了する先進国並の豊かさと繁栄を手にしているかといえば、その段階にないことは中国政府もよく知っているはずです。世界の工場としての機能への依存度は、まだまだ高く、目標とする安定した大国にはほど遠い現実があります。

 新型コロナウイルス対応で異例の2カ月半遅れで今月22日には始まった年に1度の重要会議、全国人民代表大会(全人代)では、2020年の経済成長率の目標設定は25年来で初めて見送りとなりました。さらに国民にとって重要な雇用目標は、失業率は昨年の5.5%より低い6%前後、都市部の新規雇用も昨年目標の1,100万人以上から900万人以上に引き下げました。

 一方、1国2制度を骨抜きにされることを警戒する香港が昨年、何度も激しい抗議デモを行ったことに対しては、何の説明にもならない「香港の安全を守るため」という理由で締めつけを強める強い意思を示しました。香港、台湾問題は新型ウイルスの終息宣言ができず、経済減速で国民の不安が拡がる中、目を外にそらす唯一の政治課題といえるものです。

 中国政府は、この危機的状況を捉え、経済成長だけが政府に課された至上課題という状況を脱し、国家の安定に注力する方向転換をしたいようにも見えます。中国共産党は一党独裁の正当性を常に最大の課題としており、今回の危機で国民が生活苦に陥らないよう大規模な財政出動する構えです。

 今はGDPより雇用を重視し、国民を安心させたいというところでしょう。最も中国政府が恐れているのは国民の間に政権への不信感が高まることですが、中国が未だ世界の企業の生産拠点であり、貿易依存度が高いことを考えれば、コロナ禍の世界的景気減速の影響を受けない訳がありません。

 そうなると習近平国家主席率いる中国政府に対する国民の目が厳しくなることが予想され、対米外交に始まり、何にでも強気だった習近平政権は、足元が揺らぎ、厳しい立場に追い込まれる可能性もあります。

 中国共産党指導部は来年結党100周年を迎えるにあたり、経済規模を10年前の2倍にする目標を掲げていましたが、今はその話も封印されています。今は我慢のしどころでコロナ禍の責任追及に対して世界的面子を保つことに沈黙していますが、当然、起死回生を狙い、様々な戦略が練られていることでしょう。

 たとえば国際機関のデータに記録されていない途上国、新興国への債務の罠戦略で多額の融資を行い借金漬けにしている相手国の唯一の収入源である資源価格が暴落した場合、中国は借金のかたに重要インフラ施設や資源獲得権をただで手にし、資源もただ同然に輸入することも考えられます。


 最も標的とされるのは、中国に対して弱腰で超ナイーブな日本だと私は考えています。日本経済界の懐柔政策が今後、加速する可能性があります。コロナ禍でサプライチェーンの寸断で痛い思いをした日本企業が生産拠点をベトナムやタイ、インドネシアなどに移動させる動きを封じ込めるための方法も考えているでしょう。

 その日本も足腰が弱っているので、強気には出れない状況です。しかし、この機に中国に対して厳しい条件を突きつけるくらいの気概は必要でしょう。利用できるものは何でも利用し、利用価値がなくなれば捨て去る中国に対して、今後も高い警戒が必要です。

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  バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ

 中国で職を求めてロックダウンが解除された大都市、武漢などに押し寄せた農民工が職が見つからず、路上生活を強いられ、来た時と同じバスで郷里に引き返す姿が世界に報じられています。新型コロナウイルスの感染を押さえ込んだと思われたシンガポールのインド人など外国人労働者が働く劣悪な宿泊施設でクラスター(集団感染)が発生し、問題になっています。

 フランスでは東ヨーロッパから出稼ぎに来た労働者が多数の働く食肉工場数カ所で、クラスターが発生し、不衛生で3密が日常化していた劣悪な生活環境が批判されています。日本でも勤める自動車生産工場の稼働が落ちるなどして解雇を言い渡され、暮らしが成り立たず途方に暮れる外国人労働者が急増しています。

 多くの外国人労働者は自国に戻っても職はなく、だからといって働き先の国で新たな仕事を探せる見通しもない人々が、慣れない異国で疫病の恐怖に怯えながら立ち往生している現象が世界中で起きています。無論、経済再建が進み、景気が戻ってくれば問題が解決する部分もわけですが、経済が元の状態に戻るまでには相当な時間が掛かりそうです。

 その国の国民も失業状態に陥っているのに、出稼ぎ外国人労働者を助ける余裕もない状況です。そこで浮上しているのが、先進国の企業も政府も、なぜ、長年、外国人労働者に対して低賃金と劣悪な生活環境で働かせることを放置してきたのかという問題です。

 それも多い場合は、国際的な仕事斡旋業者に犯罪組織が多く、高額な手数料を取って借金漬けにして暴利をむさぼっている実態は、何度も問題になっていますが解決していません。日本で働いたことのあるベトナムの農家出身の若い女性は、悪徳斡旋業者によってヨーロッパに向かい、英国でトラックの中で死んでいるのが発見されました。

 これもグローバル化が生んだ悲劇です。グローバルといえば聞こえが言い訳ですが、実はどこの国の法の手も及ばない無法地帯です。最近、日本から違法国外脱出した日産の前会長ゴーンの逃亡を助けたアメリカ元海兵隊の親子が逮捕されましたが、ゴーン被告もまた、グローバル化で生じた闇で違法行為に手を染めたということです。

 今回の世界的コロナ禍は、容赦なく弱い者から悲劇が襲っています。ミヤンマーを追われ、バングラデシュの難民キャンプで暮らすイスラム少数民族、ロヒンギャの難民キャンプでは不衛生で密の状態が改善されていません。多くの戦争難民キャンプが同じような状態です。当然、非常に高いウイルス感染リスクがあります。

 ブラジルなど南米のアマゾン森林地帯で暮らすインディオなどの先住民族の間にも新型ウイルスの感染が拡大していることが伝えられています。医療の整備が遅れている地域では、症状が悪化すれば死を待つしかない状況ですが、事業家たちは森林伐採に反対し、開発を阻止する先住民が弱体化することを、むしろ望んでいるといわれています。

 容赦なく弱者を襲ったコロナ禍に対して、適切な救済策を講じることは容易なことではありません。しかし、今、感染の脅威に何の抵抗もできず命が絶たれようとしている人々を放置することはできません。イタリアなど逼迫した医療環境で、重症化した患者に対して治る見込みの少ない高齢者より若者を助けざるを得なかった厳しい現実がありました。

 だからといって路頭に迷い、感染リスクに晒される世界で最も弱い立場にいる人を見殺しにすることなどできないはずです。高額年金を受け取る富裕層にも10万円を配るポピュリズム政治には、本当の困窮者への愛情が感じられません。

 人が無理な移動をせず、最低限の生活が保証される経済システムを構築するのが急務ですが、共産主義に戻ることはできませんが、まずは極端な格差社会を解消することが必要でしょう。その基本はわれわれの心が利他的であることだと私は考えます。

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 フランスのマクロン大統領の中道・与党、共和国前進(LREM)の会派から7人の国民議会(下院)議員が19日に離脱し、下院(定数577)での過半数を失いました。丁度、マクロン大統領は就任3年目を終え、任期2年を残し、難しい政権運営を迫られそうです。

 環境派の左派系議員7人の離脱でLREMは下院過半数の289議席を割り込み、288議席となり、与党で協力関係を組む中道与党・民主運動(MoDem、46議席)なしには、議会運営は困難になりました。LREMは、マクロン氏が経済相時代の2016年に創設した「アン・マルシュ!(前進!)」を2017年5月の大統領選勝利で改名したものです。

 既存大政党に失望した有権者が30代の若き金融エリートで国政選挙の経験のないマクロン氏を選んだのを見て、翌月の総選挙では、既存の右派、左派の大政党議員がLREMに鞍替えし、そこに多数の新人議員が加わり、下院はLREMが314議席と単独過半数を占めました。

 この状況を背景に、歴代政党ができなかった労働法の改正、国鉄(SNCF)改革、年金改革を断行し、その強引な政治手法で「皇帝」とあだ名されるようになりました。しかし、政権発足の翌年9月には、国民的人気の高いユロ環境大臣が、マクロン政権は環境問題に本気でないと批判して辞任し、右腕とされた政界の重鎮のコロン内相も強権政治を嫌い政権を去りました。

 その後、反政府運動の黄色いベスト運動が1年以上続き、年金改革でもゼネストなどが連続して起き、対応に追われました。労組への対応に追われる最中、新型コロナウイルスが発生し、とうとう感染死者数が隣国ドイツの3・5倍に達して、感染対策への初動の遅れも批判されています。

 マクロン氏の求心力低下は、新型ウイルスによる経済被害が拡がる中、フランスの政治にとって最も重視される失業率が上昇したことです。政権発足以来、何度も危ない橋を渡ってきたマクロン政権ですが、失業率が過去のどの政権より下がっていることが政権を支えていました。

 ところが今、フランスの失業率は2017年のマクロン大統領就任時と同じレベルまで上がってしまいました。経済危機は世界中で起きていることとはいえ、失業率に敏感なフランス人には不安を煽る数字です。ただでさえ、企業や富裕層優遇と批判されてきた経済政策は陰りが見えてきたようです。

 今回離脱した7人は脱退後、新会派「エコロジー民主連帯」の結成に加わり、以前LREMから離脱した議員らと17人の新会派を結成しました。最近ではコロナ対策と経済運営をめぐって、マクロン氏に忠実なはずのフィリップ首相が大統領と意見対立していることが報じられています。

 マクロン政権では今後、MoDemの党首で元大統領候補だったフランソワ・バイル氏の発言力が増す可能性もあります。「決めるのは私だ」が決めゼリフのマクロン大統領ですが、フランスは民主主義の国なのに、歴代大統領は就任すると独裁的になり、3年過ぎるとレームダック化するのが常です。

 マクロン氏は国民の目を外に向けるため、コロナ対策で成果を出しているドイツのメルケル首相と欧州連合(EU)の経済再建のための特別復興基金を創設する案で合意し、今後はヨーロッパレベルで指導力を発揮し、評価を高めたいところですが、国民の関心は経済だけといえそうです。

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マクロン仏大統領やゴーン氏に見るフランスの中央集権的意思決定スタイル



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 リーマンショック以上の景気後退が予想される中、長い付き合いになりそうな新型コロナウイルスと大規模な経済再建は世界的な課題です。特に景気悪化パターンが過去に経験のないものだけに、マクロ経済の専門家でも景気回復プロセスを見通せないのが現状です。

 背景には各国政府がとったロックダウン(都市封鎖)、自主隔離、外出禁止令、移動の禁止などが過去にない規模で行われ、あらゆる分野で回復不能に見えるダメージを受けていることがあります。しかも世界各国・地域がグローバル化で抜き差しならない関係にある中で起きたため、通常の景気悪化パターンとは大きく異なっています。

 正体不明の新型ウイルスと誰も見通せない景気回復の見通しは、人類を不安の谷底に落としています。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「コロナで空前の経済収縮、成長へ薄明かりも」と題した記事で、直近のアメリカの経済活動のデータをもとに希望の光は見えていると予想しています。

 「仮に4月に比べて5月に回復が進んでいたとしても、公式統計にはほとんど表れないかも可能性もある。だが6月には上向きそうだ。その成長が維持されれば、足元の経済収縮は1930年代以来の大きさであると同時に、2〜3カ月で終わる最短記録となり得る」とWSJは指摘し、大戦後に何度か起きたリセッションは、6カ月から1年半続いたよりは短い可能性もあると書いています。

 無論、今は過去にないほどの経済のグローバル化が進んでいるので、回復の速度も各国・地域でバラバラなので簡単には予想できません。悪化の一途を辿る米中関係が世界的景気後退にどの程度の影響を与えるのかも不透明な部分があります。

 仮に18・19日に行われた世界保健機関(WHO)総会で合意した新型ウイルスのパンデミックへのWHOの対応の検証が進み、中国のミスが明らかになったとしても、それが経済にどの程度影響を与えるかは疑問です。中国共産党は絶対落ち度を認めないでしょうし、外交上の緊張が経済活動に与える影響は見通せません。

 ただ、WHOが改革に一歩踏み出し、欧州も仏独が欧州連合(EU)の予算の枠内で復興基金を創設することで合意し、これまで機能していないと批判されてきた国際協調が動き出す可能性は出てきました。これは新型ウイルス対策と経済再建にとって大きな前進といえるでしょう。

 しかし、大前提は新型ウイルスの脅威は簡単には収まらないということです。たとえ、様々な治療薬が開発されたとしてもウイルスが変異する可能性は大いにあります。感染の第2波、第3波も確実に来るでしょう。その時に経済を萎縮させない対策が急がれています。

 日本は緊急事態宣言の段階的解除を進めていますが、感染死者数が以上に少ないために、そんな暴挙に出ているのでしょうか。例えば、フランスは封鎖措置の段階的緩和を5月11日から開始していますが、逆に衛生緊急事態宣言は7月10日まで延長しました。

 フランスは2015年11月の大規模なテロを受け、非常事態宣言を出して2年間続けた経験があります。その間は警官の権限を強化し、取り締まりに当たりました。だから緊急事態宣言の法的効力の重要性は熟知しています。しかし、日本は緊急事態宣言を支える特措法が法的拘束力が弱いということもありますが、解除してしまえば、政府も自治体も法の行使はできません。

 解除されて困惑する地方自治体も出ています。移動や外出制限、営業自粛はただでさえ要請でしかないのに、解除すれば何も規制する手段はありません。「制限」か「解除」かという単純な2択ではないはずです。初動を間違えた英国ですが、ジョンソン英首相が明らかにした明確な段階的な緩和プランの方が分かりやすく、国民に希望を与えます。

 完全に元の状態に戻せるという幻想は捨て、しっかりとした経済復興対策とウイルス対策を打ち立てることが急務だと思います。

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 欧州連合(EU)の中で統合を牽引してきたフランスとドイツは、戦後、良きパートナーであり、いい意味での競争相手でした。両国の外交官の間では仏独の国際結婚者も増え、かつてナチスドイツがフランスの半分を占領した時代の恩讐は嘘のような協力関係を構築しています。

 そんな両国に、ある問題が生じ、特にフランス国民は複雑な思いを抱いている。それは新型コロナウイルスの感染死者数がフランスが今月18日時点で28,239人なのに対して、ドイツは7,975人と少なく、人口(フランス 約6,700万人、ドイツ 約8,300万人)を考慮したとしても、フランスでドイツの3.5倍の犠牲者が出ていることです。

 無論、感染者数も死者数も正確な数字とはいえず、死者数ではフランスや英国は高齢者施設や自宅で感染で亡くなった人を当初は数えていなかったり、感染者数に至ってはPCR検査の実施率によって数は大きく異なるため、科学的証拠として、どこまで判断材料になるか不明な点もあるといわれています。

 とはいえ、この際、感染者数以上にわれわれ一般市民にとって重要なのは死者数です。アメリカで9万人もの死者が出て原因究明をしないでいられるわけはありません。フランス国民にとってもドイツの3.5倍の死者数は看過できない数字です。

 複数のフランスのメディアは当然、この結果について様々な分析を行っています。結論からいえば、ドイツではすでに通常の医療活動を妨げずにウイルス検査をする体制が整備され、迅速に徹底して感染の有無を検査したことと、感染者の隔離など初動の速さがあったということです。

 ドイツは今年1月17日、特定集団から、特定の疾病を有する確率の高い人を選別するスクリーニングテストを開発し、世界保健機関(WHO)にもデータを報告していました。この時点では中国が新型コロナウイルスが人から人へ感染することや、武漢での治験データを隠蔽したため、情報は極端に不足していました。

 しかし、3月にヨーロッパで本格化した感染検査の前までは、このスクリーニングテストが実施されていたのは事実です。一方、フランスは1月17日といえば、年金改革への抗議デモやゼネストを繰り返す労働組合との話し合いに政府は追われていた時期です。

 中国当局が武漢の人口の封じ込めを命じた1月23日、アニエスブザン仏保健相(当時)は、病院に緊急警戒を呼び掛け、スクリーニングテストを実施していますが、実はそのテストはフランスがドイツに依頼したものだったと複数のフランスのメディアが数日後に明らかにしました。

 翌24日にはパリで1例、ボルドーで2例の感染者らしい事例が報告されたにも関わらず、フランス政府は年金改革デモや集会を放置していました。その後もイタリアで爆発的な感染拡大が始まった時点でもフランスはEU域内からの流入者に何も検査を実施しませんでした。

 リヨンではサッカーの試合にイタリアから千人規模のサポーターが来ていました。今になって分かったことはフランスの最初の感染者は、実は昨年12月にいたことが判明し、その人物の関係者が中国旅行者と日頃接触する空港職員だったことも分かってきました。

 ドイツでは4月初旬には1日当たりの5万件程度の検査が実施され、1日2千件程度の日本の25倍に達していました。ドイツは検査で医療関係者に院内感染することを防ぐため、一般患者の治療の現場から検査場所を切り離す多くの工夫がされていました。

 患者を病院に呼び出さず、医師が自宅に訪問して検査キットを使って検体を施設に送る郵送検査の取り組みも始めていました。病院外のドライブスルー式の検査も急増し、感染が疑われる患者は主治医と電話で相談して検査の予約を取り、車で病院の駐車場や公共施設の一角などに設けられた検査場を訪れる方法が早期に導入されていました。

 ドイツで医療崩壊を防ぎながら大規模な検査が実施できた背景には、専門家の初動が早かったことがあげられています。独政府の感染症対策の専門機関であるロベルト・コッホ研究所は、中国での新型コロナウイルスの検出が伝わったばかりの1月6日に内部で作業グループを設置していたのに対して、労組との交渉に追われるフランスは対照的でした。

 話を複雑にしているのは、フランスにも感染症では世界的に知られるパスツール研究所を抱えていることです。ところがドイツ政府がコッホ研究所と連携して対策に乗り出した初動の速さは、フランスには見られなかったことです。

 ドイツは結果、ドイツ初の感染者が見つかった1月末には2交代制で監視を進め、非常に早い時点で新型コロナは従来型インフルエンザよりも約10倍危険だと結論づけました。感染例は少なくても、その危険性を認識したことで、初動も早く、検査も徹底したことが、今のところドイツの死者数が大きく抑えられている主要因といえそうです。

 さらにフランス人に複雑な思いを抱かせるのは、医療に関する国家予算はフランスの方がドイツより多いという事実です。フランスの公立病院では事務職が全雇用の35%以上なのに対して、ドイツはでは24%で、人件費の違いがあり、フランス人なら背景に労働組合があることを容易に想像できます。

 最近、民間企業から公立病院の事務職に転職した女性は「ここでは1人でやれる仕事を3人から5人でしている」と指摘しています。緊急経済支援対策でもドイツ政府はビジネスを支援し、従業員に報酬を支払い、11億ユーロの予算を費やしています。

 部分的失業者、自営業者、自営業者、アーティストの支援、延滞賃金の補償など経済サポートでも、フランスはドイツに負けています。だからフランス人は非常にドイツを複雑な目で見ているわけです。マクロン大統領の支持率が下がり始めたのも無理のないことといえそうです。

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Dictator vs Democracy

 安倍政権で30万円の給付が批判を浴び、一律10万円給付に変わり、世論は落ち着いているようです。しかし、裕福でなおかつ高額年金生活者も10万円、経済活動の停止で生活が行き詰まり、切り崩す預金もない人にも10万円の不平等さは放置され、より困った人を助けるという最初の精神は骨抜きになりました。

 フランスでも文化芸術活動に関わる人にも手厚い失業保険や社会保障税の免除などの制度がもともとあり、そこに政府はフリーランスや短期契約労働者の失業手当受給条件の緩和緊急策や、緊急基金を創設したにも関わらず、有名人などが連名で4月末に左派系日刊紙ル・モンドにオープン・レターを掲載し、ダンサー、コメディアン、映画製作者など短期契約の舞台芸術労働者の明確な支援計画を迫りました。

 すると、マクロン政権は、文化芸術活動の労働者の失業給付を来年8月31日まで延長すると発表し、さらに30歳未満のアーティストに特化した「大規模なパブリック・コミッション・プログラム」を検討していることも明らかにし、要求に応じようとしています。この問題はSNS上でも議論されていました。

 世論が騒げば、政府は簡単に方針を転換する現象は、今回のコロナ禍で如実です。そこには2つの問題があると思います。1つは、もともと政治家や官僚が国の現状、国民が何を本当に必要としているかを正確に把握できていないという政治・行政と国民との距離が相当あるという問題です。

 2つ目は、今やSNSなどの発達でネット民主主義とでも呼ぶべき、大衆政治が当り前になってしまっていることです。政府は既存のマスメディアと同じくらいの比重でSNS上の世論を重視しており、不人気な政策は簡単に取り下げる現象が起きています。ポピュリズムの脆弱さが現れているともいえます。

 政治家の方も自分を支持する有権者のみにしか関心がなく、例えばブラジルやフィリピンの大統領は過激な言動で物議を醸し、新型ウイルス対策でもブラジルのボルソナーロ大統領は厳しい封鎖措置を取ろうとせず、今や世界4番目の感染者数を出していても、彼の猛烈な支持基盤は揺らいでいません。

 フィリピンのドゥテルテ大統領は逆に政府が出した厳しい封鎖規則を守らない者を「射殺してしまえ」といつもの過激発言を行っていますが、それでも彼の支持者が激減することはありません。物事を極端に単純化し、明確な方針を出すポピュリズム政治家は増える一方です。

 彼らは何をしたら支持者に受けるかを動物的な鋭い感で関知する能力に長けています。前言を翻すことなど平気です。間違ってもなかなか誤ろうとせず、周辺の閣僚や官僚の首切りで急場をしのいで時間が経つのを待ちます。今、彼らにとって不快な存在は感染症の専門家です。

 経済の専門家ではない医学の専門家が科学的データをもとに政治介入しているような印象を与えています。国民は科学的データに弱いのと、命に関わる健康問題は最優先に考える傾向があるので、経済を心配する政治家や経済専門家より、疫病専門家のいうことに耳を傾けています。

 すると今度は経済の専門家が警告を発し、物事を単純化したいポピュリズム政治家は疫病と経済の両方の専門家の間で高度が判断を迫られますが、実は大した哲学や信念を持たない政治家が多く、迷走が続く現象があちこちで起きてしまっています。

 ナショナリスティックなポピュリズム政治家は、グローバリゼーションで追い詰められた弱者の怒りから生まれたわけですが、結果、超内向きで疫病対策で国際協力関係は、ほぼできていません。逆にコロナ危機で得点を稼ぐ指導者の方が多いように見えますが、そのうち本当の危機がくれば彼らも糾弾されるでしょう。

 国民が騒げば八方美人的に金をばら蒔くことは1時凌ぎにはなっても、長い目で見れば命取りになりかねません。途上国だけでなく先進国も借金地獄に陥る可能性が着々と高まっていますが、国民は金を要求し続けています。

 このような状況でも、まったく経済的に困っていない人々に国民の税金をつぎ込む愚かさにはブレーキを踏むべきでしょう。そこには一貫性とより多くの人が納得する政治哲学とそれを伝えるコミュニケーション能力が必要です。

 国民が必要とするものは全て知っているし、例外のものを望んではいけないとした共産主義は滅んでしまいましたが、逆に何でも国民に聞けばいいという安易な政治や欲望の政治学に振り回されるポピュリズムより、国民の良心を呼び覚ます政治でなければ、国家も世界も破綻してしまうと心配しています。

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 ドイツを先頭に欧州連合(EU)諸国は、中国との経済関係を深め、同時に外交関係も強固なものにしてきました。その関係が新型コロナウイルス問題で亀裂が生じ、欧州首脳はアメリカのトランプ大統領が主張する中国責任追及論に同調する姿勢を見せています。理由は仏独伊で中国以上の死者を出した原因究明は必須だからです。

 フランスのマクロン大統領は「中国のいうことをそのまま信じるのは馬鹿だ」といい、英国の首相代理だったラーブ外相は「中国とはこれまでの様な付き合いはできない」と語り、ドイツのメルケル首相は「中国が情報開示していれば、感染は抑えられたはず」と発言しました。

 そのドイツの最大部数を誇る日刊紙ビルトは先月、中国へ巨額賠償請求を細かい数字を並べ、紙面で中国政府に突きつけるという異例の行動に出ました。フランスでは駐仏中国大使館のホームページで、フランスの高齢者施設職員が入所者の死を放置していると指摘し、ルドリアン仏外相が駐仏中国大使を呼びつけ、強く抗議しています。

 英秘密情報部MI16元トップのサワーズ氏は「中国は新型ウイルスに関して当初世界に対して情報を隠ぺいした」との認識を示し、欧州では中国の情報隠蔽とそれを指示した独裁権力を持つ中国の習近平国家主席への批判は強まる一方です。それは3月末の先進7ヶ国(G7 )外相会議でも欧州メンバー国は確認済です。

 中国と最も強固な経済関係のドイツでは、ナチスドイツの教訓から国家に権力が集中しすぎることを嫌う傾向が欧州一強いといわれています。そのためドイツ国民は今回の新型ウイルス拡散で中国の習近平国家主席の独裁性が露呈したことに強い嫌悪感を抱いています。

 欧州議会で対中関係担当のドイツ選出のビュティコファー議員は「中国はここ数カ月で欧州を失った」と語り、同時にイタリアに医療支援団を送り、マスク外交を展開していることについて「この危機的状況に中国は自国体制のプロパガンダを強化しようとしている」と不快感を示しました。

 フランスや英国では中国から届いたマスクに大量の不良品が見つかり、中国の対欧州医療品支援への不信感拡がっています。中国にとって欧州との関係強化の好機だったはずが「欧州では中国に対して険悪する雰囲気が拡がっている」(在中国EU商業会議所)と指摘しています。

 一方、EU諸国には対中強硬路線を取れない事情もあります。オーストラリアのように新型ウイルスの外部調査団を武漢に派遣することを主張した途端、反発する中国がオーストラリア産牛肉の輸入を停止する報復措置に出たようなことが起きかねないからです。欧州ビジネス界は対中関係悪化だけは避けたいところです。

 しかし、中国への警戒感を強めるEUは、昨年7000億ユーロ(約81兆円)に上るEU・中国間の貿易を損ねてもEUの中国への経済依存度を下げ、中国の債務の罠のリスクを回避する政策に踏み切っている最中でもあります。

 足下では昨年、債務過多に苦しむイタリアが、中国の広域経済圏構想「一帯一路」への参加を表明し、トリエステ港の湾岸整備で中国マネーに飛びついたことへの警戒感もあります。とはいえ、EUはアメリカほどの経済的体力がなく、対中強硬姿勢にはブレーキもかかっています。

 それと4月中旬に開催されたG7首脳テレビ会議では、アメリカが主張するWHO改革を支持しながらも、欧州のスタンスは異なっています。あくまでWHO改革と中国問題は切り離したいのが欧州だからです。国連を初めとする国際機関を盛り上げていくのがEUの基本姿勢だからです。

 コロナ大恐慌で中国は世界から排除されるのか、それとも医療物資支援などを途上国、新興国に行うプロパガンダ戦略を成功させ、ここ数年実力を蓄えた中国企業が経営の行き詰まった世界中の有料企業を買収してアメリカに勝つのか、すでにその経済戦争は始まっているといえます。

 そんな中、日本はまた、欧米と中国の間でバランスを取るため曖昧な態度を取り続け、中国に手を貸してしまうのでしょうか。欧米が批判する中国の独裁体制、少数民族弾圧には目をつむり、ビジネスに集中すればいいという態度をとれば、東西冷戦時代と違い、今度は確実に日本は欧米からの信頼を失う可能性は高いといえそうです。

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 人災という言葉がある。自然災害にせよ、健康危機にせよ、戦争危機にせよ、危機に対する適切な対処を誤る原因が人にあるという場合に使う言葉です。私はアメリカが主張する中国が新型コロナウイルスをまき散らしたという非難は間違っているとは思いませんが、時系列を辿ると人災だった可能性の方が高いと私は見ています。

 具体的には中国・武漢市のトップが、いつものように上に対して、いい報告しかせず、その隠蔽が招いた危機だったと見ています。そこにあったのは市民ではなく習近平国家主席への忖度で生きる保身の固まりの役人体質です。無論、忖度される習近平氏自身が中国共産党の政権維持だけに固守し、国民に向いていないことも危機を拡大させた要因だったことは間違いありません。

 専門家が指摘する昨年12月からの時系列は省略しますが、最終的には武漢のロックダウン発表と実施の間に生じた時差で、市に閉じ込められる恐怖を嫌った何十万人もの市民が武漢から逃げ出したことで無症状感染者が世界にウイルスをばら蒔く結果になったのは事実です。

 リスクマネネジメントで被害を最小化できるかどうかを決める幾つかの重要事項がありますが、中でも現状把握はマネジメントの大前提です。対策はその現状に対して行われるわけですから、正確に把握していなければ、どんな素晴らしいリーダーがいても、真面目に対策を遂行するチームがあっても何もなりません。

 つまり、リスクマネジメントは情報収集と分析力に掛かっているわけです。ところが下から上に上げられる情報に嘘や変更が加えられた場合、危機を押さえ込むどころか拡大させる危険性もあります。その不正確で嘘の情報をもたらすのが下から上へ忖度、自分がいい評価を受けたいという保身です。

 通常、強い権力を持つリーダー、独裁的な指導体制に起きやすい現象で、中国共産党の一党支配だけでなく、安倍政権が今回の新型ウイルス対策で当初迷走したのも、安倍首相の周りが忖度と保身の政治家や官僚で埋めつくされていたからだと私は見ています。

 ヨーロッパでも大統領に権力が集中する中央集権的体質のフランスが、そうでないドイツより感染死者数が3.5倍も多い理由は初動の遅れといわれています。事態の深刻さが正確に大統領に伝わっていなかったことも指摘されています。

 忖度は自分の評価を決める上司に気に入られたいために起きることで、忠誠心が絡む微妙な問題です。その上司もさらに上の上司に忖度して生きている可能性もあります。忖度にもいい忖度と悪い忖度があり、いい忖度は純粋に上司を喜ばせたいというものですが前提は上司を含む全体の利益になるかどうかです。

 悪い忖度は、全体の利益ではなく、自分の利益を先に考える忖度です。何が違うかといえば自分があるかどうかです。自分の出世を会社全体の利益より先に考える人間の忖度は、会社を危機に晒します。例えば上司がまったく現実的でない目標を掲げ、成果主義を押しつけた場合、結果の数字をよく見せるための事実の歪曲や隠蔽が起きてしまいます。

 大企業の不正会計や検査の手抜きなど、コンプライアンスに関わる問題には保身と忖度が渦巻いています。正しいリーダーシップは、そんな人間の心理を見抜き、間違った忖度や保身に走らせないマネジメントが必要です。特にリーダーは気持ちのいい報告には細心の注意を払う必要があります。

 この問題は個々人がそれぞれ自分に考え方を持つ欧米より人が中心の東洋で起きやすい現象です。上司を心地よくすることが重視され、人間崇拝がすぐに起きてします東洋では、リーダーは裸の王様になりやすい。部下によって雲の上に祭り上げられ、その部下によって地に落とさせる場合もある。

 強権がもたらすリスクは、自分で考えることを止めることです。忖度するのに忙しく自分で考えるよりは権力者に従うことが重視され、自分の抱える問題を正しく把握することもでず、判断力を養う機会を奪われたイエスマンは、リーダーとしては役に立ちません。

 新型ウイルスの危機に晒される国家も企業も、この保身と忖度病が蔓延ることが危機を拡大させる原因になっている場合が少なくありません。全員が上だけ向いて仕事をするような組織は危機を乗り越えられません。その体質を持つ習近平氏率いる中国共産党は結果的に国民と世界の両方を欺いてしまいました。

 しかし、それは他山の石として、どこの国にも組織にも潜む疫病だと受け止めるべきでしょう。今回のような本当の危機的状況に陥った時に全員を危険に晒すものです。正しいエンゲージメントを生むのはトップから組織全体までは、一つの目標を共有することであって人間を崇拝することではありません。

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いい忖度、悪い忖度があるはず